曲の紹介
【曲名】Sweet Home Chicago(スイート・ホーム・シカゴ)
【アーティスト】Robert Johnson(ロバート・ジョンソン)
【カバー・バージョン】
Freddie King(フレディ・キング)、
Magic Sam(マジック・サム)、
Buddy Guy(バディ・ガイ)、
Eric Clapton(エリック・クラプトン)、
The Blues Brothers(ブルース ・ブラザーズ)、他
【作詞・作曲】Robert Johnson(ロバート・ジョンソン)
【概要】
1936年にロバート・ジョンソンが録音し、1937年にシングルとしてリリースされた。
その後、多くのアーティストがカバーし、ブルースのスタンダード・ナンバーとなった。
【記事参照元】 Sweet Home Chicago-Wikipedia
【歌詞引用元】 Sweet Home Chicago(Robert Johnson)-Genius
曲の解釈
この曲は、伝説のブルース・ギタリストと言われるロバート・ジョンソンがつくり、フレディー・キング、バディ・ガイ、エリック・クラプトンなど多くの大物アーティストにカバーされているブルースの定番曲です。
曲の内容は、主人公が恋人(”friend-boy”と呼んでいるので、おそらく年下の男性)に、自分の故郷シカゴに一緒に行こうと誘っています。
「そこに帰れば大金持ちになれるんだ」と言っています。
しかし、恋人の彼には女性の遊び友達がいるせいでしょうか、あまり気乗りがしていない様子が伺えます。
この曲の歌詞には、当時から謎とされる箇所があります。
「Back to the land of California, to my sweet home Chicago」
行先が中西部にある故郷のシカゴといっているのに、西部のカルフォルニアに帰ろうといっており、距離的にかなり離れています。
これにはいろいろな諸説があり、主には下記のようなことが言われています。
・ロバート・ジョンソンの単なる地理的な知識不足だった。
・カリフォルニア州にはポート・シカゴという地名があり、シカゴとはポート・シカゴのことだった。
・当時のカルフォルニアは、カルフォルニア・ゴールド・ラッシュと言われるほど金が取れて賑わっていたので、金脈的な盛況の土地のイメージで使った。
・当時のロバート・ジョンソンがいた南部のミシシッピ州では黒人差別が激しく、差別の少ない西部のカルフォルニアを理想の地とした。
この謎の箇所にはカバーするアーティストも困り、「the land of california」を「same old place(変わらない懐かしい場所)」に置き換えて演奏したりしています。
このサイトでは、カルフォルニアを「金の稼げて、差別のない理想郷」的なイメージで訳しました。
動画はロバート・ジョンソン、カバーはロバート・ジョンソンに敬意を示して、「the land of california」と演奏しているエリック・クラプトンバージョン、バディ・ガイを中心としたライブバージョンです。
歌詞の和訳
(原詞:太文字)
Sweet Home Chicago
Oh, baby, don’t you want to go
ああ、ベイビー、行きたくないのか?
Oh, baby, don’t you want to go
ああ、ベイビー、行きたくないのか?
Back to the land of California, to my sweet home Chicago *1
彼の地カルフォルニアへ帰るんだ、俺の愛しい故郷シカゴへ
2)
Oh, baby, don’t you want to go
ああ、ベイビー、行きたくないのか?
Oh, baby, don’t you want to go
ああ、ベイビー、行きたくないのか?
Back to the land of California, to my sweet home Chicago
彼の地カルフォルニアへ帰るんだ、俺の愛しい故郷シカゴへ
3)
Now one and one is two, two and two is four
今に、一と一でニ、ニとニで四に
I’m heavy loaded baby, I’m booked, I gotta go *2
俺は大金持ちさ、決まってる、だから行くのさ
Cryin’, baby, honey, don’t you want to go
泣いてるのか、ベイビー、ハニー、行きたくないのか?
Back to the land of California, to my sweet home Chicago
かの地カルフォルニアへ帰るんだ、俺の愛しい故郷シカゴへ
4)
Now two and two is four, four and two is six
今に、ニと二で四、四と二で六に
You goin’ keep on monkeyin’ ’round here friend-boy *3 *4
ずっとここで遊びほうけているのか、わがダチよ
You goin’ get your business all in a trick
つける仕事なんてぜんぶ詐欺まがいだぜ
But I’m cryin’, baby, honey, don’t you want to go
だが悲しいぜ、ベイビー、ハニー、行きたくないのか?
Back to the land of California, to my sweet home Chicago
彼の地カルフォルニアへ帰るんだ、俺の愛しい故郷シカゴへ
5)
Now six and two is eight, eight and two is ten
今に、六と二で八、八と二で十に
Friend-boy, she trick you one time she sure gon’ do it again
わがダチよ、彼女は一度お前を欺き、きっとまたするぜ
But I’m cryin’, hey baby, don’t you want to go
だが悲しいぜ、なあベイビー、行きたくないのか?
Back to the land of California, to my sweet home Chicago
彼の地カルフォルニアへ帰るんだ、俺の愛しい故郷シカゴへ
6)
I’m goin’ to California, from there to Des Moines, Iowa *5
カルフォルニアに行き、そこからアイオアのデモインへ向かうんだ
Somebody will tell me that you need my help someday, cryin’
誰かに聞くことになる、いつかお前が俺の助けを求めて、泣いてると
Hey, hey, baby, don’t you want to go
なあ、なあ、ベイビー、行きたくないのか?
Back to the land of California, to my sweet home Chicago
彼の地カルフォルニアへ帰るんだ、俺の愛しい故郷シカゴへ
キーワード
*1 the land of California : 当時ゴールド・ラッシュでにぎわったカリフォルニアを「カリフォルニアの地」と表現している意味で、「彼(か)の地カリフォルニア」としました。
*2 I’m heavy loaded: “be loaded”は「積まれて」「満杯」よりもスラング的に「金持ちになる」としました
*3 monkeyin’ ’round: 「無駄にすごす」「戯れる」ですが文脈から「遊びほうける」としました。
*4 friend-boy: 「友達の少年」を文脈から、「わがダチ」としました。
おそらく、主人公の恋人は若い年下の男性と思われます。
*5 I’m goin’ to California, from there to Des Moines, Iowa: ここでいうカリフォルニアは理想郷的な地のたとえとして訳していますので、実際はカリフォルニアからアイオアのデモインへではなく、シカゴからデモインへと読み替えてください。
実際、デモインのあるアイオア州はシカゴのあるイリノイ州の隣に位置します。
アーティストの紹介
【名 前】Robert Johnson(ロバート・ジョンソン)
【生誕・死没】1911年5月8日-1938年8月16日
【出身地】アメリカ ミシシッピ州 ヘイズルハースト
【概要】
伝説的なブルース・ミュージシャンで、後世にブルース、ロックミュージシャンへ多大な影響を与えた。
彼には、クロスロード伝説というものが語り伝えられている。
これは、クロスロード(十字路)で悪魔と契約し、魂と引き換えにギターのテクニックを手に入れたというストーリー。
実際に短期間でギターの腕前をあげたことや、27才の若さで死んだ(浮気相手の旦那に毒をもられて死んだ等諸説あり。)ことなどで、まことしやかに伝説として伝えられている。
彼の楽曲「Crossroads」は、この伝説で悪魔と契約した場所(十字路)を指しており、ロバート・ジョンソン神話の一つとなっている。
生涯行ったレコーディングは、1936年11月テキサス州サンアントニオで16曲、1937年6月テキサス州ダラスで13曲を行った。
後年1961年に彼のレコーディングはアルバム「King of Delta Blues Singers」として発表された。
1990年に、未発表だったテイクも含め、アルバム「The Complete Recordings」としてリリースされた。
彼の音楽は、多くの有名ミュージシャンに影響を与え、彼の音楽はブルースとロックの融合において重要な役割を果たした。
ジョンソンの功績は彼が生きている間にはあまり認識されなかったものの、後の世代によって高く評価されている。
アルバムの紹介
1961年 The King of Delta Blues Singers
1970年 The King of Delta Blues Singers, Vol. 2
1990年 The Complete Recordings
2011年 The Centennial Collection
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