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The River(リバー) – Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)和訳

ブルース・スプリングスティーン写真
目次

曲の紹介

【曲 名】The River (リバー)
【アーティスト】Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)
【作詞】【作曲】Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)
【概 要】この曲は、1980年にリリースされたアルバム「The River」に収録されている。翌年、1981年のソロアルバムとしてリリースされた。

当初このアルバムは別名の1枚組で発売される予定だったが、軽薄すぎると感じた彼はこの「The River」をはじめ、暗い曲を加えて意図的に暗さと対比させて、2枚組としてリリースした。

この2枚組アルバムは、彼のアルバムの中で最も売れた。

彼は後のインタビューで、「ロックンロールはいつも楽しみを与えてくれ、人生にある意味、幸せをもたらしてくれるが、ロックはまた、苦しく、冷たくそして孤独でさえある。

俺は気づいたんだ、人生には矛盾があるってことを、その多くの矛盾を誰もが背負っていることを」と語っている。

【記事参照元】The River (Bruce Springsteen album)-Wikipedia
【画像引用元】Bruce Springsteen-Wikipedia
【原詞引用元】Bruce Springsteen–The River Lyrics-Genius

曲の解釈

この「The River」はスプリングスティーンの妹さん(バージニア、愛称ジニー)から、インスピレーションを得たと言われています。

曲は”Mister”という誰かに自分とメアリーの過去を語って展開していきます。

歌詞の内容は、若い二人が子供ができたことで結婚し二人で暮らし始めたが、仕事も無くなり、おそらく地獄のような生活に落ちて行くストーリーが語られます。

とても二度と思い出したくない辛い思い出だけれど、主人公はこう言っている気がします。

たとえ誰にも結婚式の祝福も受けず、生活も苦しかった辛い思い出だけれど、”二人で川までドライブし、川の中に飛び込んだ”このことだけが、唯一大切な想い出であり、二人が生きていた証でもあると。

この当時のアメリカは、重工業、特に自動車産業の衰退などで失業者が増え、社会構造の変革期にあったようです。

そしてこの曲は、こうした労働者の失望感や社会情勢の暗さを表しているように思えます。

ところで、主人公のメアリーとの想い出は過去形で語られて行くので、メアリーとは別れたのかな?と思いましたが、最後のコーラス部分で、
Down to the river (川まで行くんだ)
my baby and I (愛しいお前と俺とで)
Oh down to the river we ride (ああ、川まで二人でドライブするんだ)
と現在形へと変わりました。

メアリーとはまだいっしょにいるのでしょうか?
それとも、過去の彼女に会いたくて、川へと駆り立てられるのでしょうか?

ぜひ、訳を見ながら聴いてみてください。泣けます!

Bruce Springsteen - The River (The River Tour, Tempe 1980)

歌詞の和訳

(原詞:太文字)

The River

I come from down in the valley
俺は谷からやってきた
where mister, when you’re young *1
そこでは、若い内から
They bring you up to do *2
決められて育つのさ
like your daddy done *3
自分の親父の跡を継ぐように

Me and Mary we met in high school
俺とメアリーは、ハイスクールで知り合った
when she was just seven teen
その時、彼女はまだ17才だった
We’d drive out of this valley *4
俺たちは車で抜け出して行った、この谷から
down to where the fields were green
緑に覆われた野原まで

We’d go down to the river
二人で川へ行った
And into the river we’d dive
そして川の中へ、二人で飛び込んだ
Oh down to the river we’d ride
ああ、川までドライブしたんだ

2)
Then I got Mary pregnant
それから、俺はメアリーを妊娠させた
and man, that was all she wrote *5
そして「男」、それだけ彼女は書いた
And for my 19th birthday
それから、俺の19才の誕生日に
I got a union card and a wedding coat
組合員証と結婚式用のコートを手に入れた

We went down to the courthouse
二人で役所に行ったが
and the judge put it all to rest *6
審査官は、ただ事務的に手続きをしただけ
No wedding day smiles, no walk down the aisle
結婚の日を喜ぶ笑顔はなく、ウエディングロードを歩くこともなく
No flowers, no wedding dress
花束も、ウエディングドレスもなかった

That night we went down to the river
その夜、俺たちは川まで行って
And into the river we’d dive
そして川の中へ、二人で飛び込んだ
Oh down to the river we did ride
ああ、川までドライブしたんだ

3)
I got a job working construction
俺は職についた、建設会社で
for the Johnstown Company
ジョンズタウンという会社の
But lately there ain’t been much work
しかし、やがてそこでの仕事は減ってきたんだ
on account of the economy
不景気のために

Now all them things that seemed so important
今は全ての事が、とても大切に思えてた
Well, mister they vanished right into the air
そうさ、虚しく消えちまったんだ、空気のように
Now I just act like I don’t remember
今では、俺は忘れたふりをするし
Mary acts like she don’t care
メアリーは、気にしない振りをしてる

4)
But I remember us riding in my brother’s car
だけど忘れない、二人がドライブしたこと、兄きの車で
Her body tan and wet down at the reservoir
彼女の躰は褐色で濡れていた、降りた貯水池で
At night on them banks I’d lie awake *7
その夜堤防の上で、俺は寝るともなく横になり
And pull her close just to feel each breath she’d take *8
そして彼女を引き寄せた、彼女の息づかいを感じ取れるように

Now those memories come back to haunt me *9
今でもあの時の記憶が、蘇り追ってくる
they haunt me like a curse
俺を追ってくる、まるで呪いのように
Is a dream a lie if it don’t come true
ただの夢なのか、もし現実じゃないなら
Or is it something worse *10
そうでないなら、何かが狂ってるのか

That sends me down to the river *11
あの記憶は、俺を川へと連れていく
though I know the river is dry
分かっているのに、川は干上がっていると
That sends me down to the river tonight
あの記憶は俺を川へと連れていく、今夜

Down to the river
川まで行くんだ
my baby and I
愛しいベイビーと二人で
Oh down to the river we ride
ああ、川まで二人でドライブするんだ

キーワード

*1 where mister, when you’re young:misterは特定しない誰か(語り相手で男性)とし、「そこでは、若いころから」としました。

*2 bring you up:(あなたを)育てる、しつける

*3 like your daddy done : doneは「終わったこと、行ったこと」から親父のした仕事を継ぐ意味にしました。

*4 We’d drive:”drive”この曲全般に言えますが、過去完了形の動詞が過去分詞ではなく現在形になっています。

*5 and man, that was all she wrote:manは「男の子」の意味で「男」としました。
また、言葉でなくメモに書いて知らせたのは、メアリーの不安を表している気がします。

*6 and the judge put it all to rest:put to rest~「終わらせる、解決させる」ちなみにアメリカでは日本と違い、婚姻の届けだけでなく、人前で誓いの言葉を宣誓する必要があるようです。
おそらく、事務的に済まされた婚姻の手続きに、主人公はさみしさを覚えたように思えます。

*7 I’d lie awake:「私は目を覚まして寝ころんだ」から「俺は寝るともなく横になり」としました。

*8 to feel each breath she’d take:「彼女がする一呼吸、一呼吸を感じるため」を「彼女の息づかいを感じ取れるように」としました。

*9 haunt:「出没する、出る、付きまとう」から「追ってくる」としました。

*10 something worse:「何か悪い」ですが文脈から「何かが狂ってる」としました。

*11 That: “that”は前文の”Now those memories come back to haunt me”の”those memories”の意味で、「あの記憶」としました。

アーティストの紹介

【名 前】Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン)
(出生名:ブルース・フレデリック・ジョセフ・スプリングスティーン)
【生誕】1949/9/23 –
【出身地】アメリカ ニュージャージー州ロングブランチ
【概要】10才の頃エルビス・プレスリーに憧れてギターをはじめ、地元ニュージャージーでアマチュアバンドを組み、音楽活動を始める。

CBSレコードのオーディションを機に1973年1月に「アズベリー・パークからの挨拶(Greetings from Asbury Park, N.J. )」でレコード・デビューした。

当時は「第二のディラン」というキャッチ・フレーズをつけられていたが、彼自身はあくまで「ロックン・ローラー」でいたいと悩んでいたという。

1973年9月に2thアルバム「青春の叫び(The Wild, The Innocent & The E Street Shuffle)」をリリースした後、ロック評論家「ジョン・ランドー」をプロデューサーに迎え、1975年8月にリリースした3thアルバム「明日なき暴走(Born to Run)」は大ブレークした。

アルバムタイトル曲の「明日なき暴走(Born to Run)」はローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2004年版)では21位にランクされている。

1980年9月に5thアルバム「ザ・リバー(The River)」をリリースし、初のアルバムチャート1位をした。アルバム曲の「ハングリー・ハート (Hungry Heart)」やアルバムタイトル曲の「ザ・リバー(The River)」は話題となり、その後ワールドツアーを約1年にわたり行った。

1984年6月に7thアルバム「ボーン・イン・ザ・U.S.A. (Born in the U.S.A.)」をリリースし、長期にわたりアルバムチャート1位を獲得するなど、大ヒットした。

この曲は、当時共和党の右派政治家だったロナルド・レーガンが、彼の演説で取り上げて賞賛したように、一般的に「アメリカで生まれた」ことの誇り、プライドを表現しているととらえられていた。

しかし、スプリングスティーンの意図は全く逆で、彼がベトナム帰還兵が帰国後に受けた苦痛や苦しみ、彼らを温かく受け入れなかった当時のアメリカ社会に対する矛盾や憤りを表わしていると言われている。

ちなみに、1973年にボブ・ディランが発表した「天国への扉(Knockin’ on Heaven’s Door)」も当時の反戦ムードのアメリカ社会でベトナム帰還兵が受けた苦しみ、哀しみを表わしているとされています。

そして1999年に「ロックの殿堂」入りを果たした。

その後、2001年に起きたアメリカ同時多発テロ事件は彼に大きな影響を与え、追悼のイベントに参加したり、新作アルバム「ザ・ライジング (The Rising)」ではテロを題材にして事件の傷跡を悼んだ。

また、政治においても積極的に自分の主張を表明し、2004年アメリカ大統領選挙では反ブッシュの立場をとった。

その後も音楽活動を行っているが、2021年に全楽曲の権利をソニー・ミュージックエンタテインメントに売却した。噂では売却額は5億ドル以上と言われており、1人のアーティストとしては過去最高額と見られている。

アルバムの紹介

1973年 青春の叫び / The Wild, The Innocent & The E Street Shuffle

1978年 闇に吠える街 / Darkness On The Edge Of Town

1980年 ザ・リバー / The River

1982年 ネブラスカ / NEBRASKA

1984年 ボーン・イン・ザ・U.S.A. / Born In The U.S.A.

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