曲の紹介「Up on Cripple Creek アップ・オン・クリップル・クリーク」
インフォメーション
- 曲名:Up on Cripple Creek(アップ・オン・クリップル・クリーク)
- アーティスト:The Band(ザ・バンド)
- 作詞・作曲:Robbie Robertson(ロビー・ロバートソン)
- リリース:1969年11月29日
- サマリー:The Bandが1969年にリリースした2枚目のアルバム「The Band」の収録曲で、シングルはビルボード・ホット100で25位にランクインした。
- 記事参照元:
Up on Cripple Creek -Wikipedia
ザ・バンド-Wikipedia - 歌詞引用元:Up on Cripple Creek -Genius
曲について
「アップ・オン・クリップル・クリーク」は、ザ・バンドの代表曲であり、ギタリストのロビー・ロバートソンが作りました。
歌詞の内容は、主人公のアメリカの長距離ドライバーが、山からミシシッピ川を下って、好きなベッシーが住んでいるルイジアナ州のレイクチャールズに行き、彼女と楽しい時間を過ごす情景が描かれています。
最後には、トラックでの路上生活にも疲れ、家に帰ろうかなと思う主人公ですが、そこでもまたベッシーに会いたいという誘惑に駆られる下りで終わります。
題名とコーラスにも出てくる「Cripple Creek(クリップル・クリーク)」は、コロラド州にある実際の都市ですが、おそらく主人公の故郷か古巣の家があり、疲れを癒しに帰れる場所だと思います。
主人公は恋人とギャンブルをし、酒を飲み、音楽を聴く楽しい生活を送りながらも、長距離ドライバーという仕事に疲れた時は、故郷(我が家)への思いが湧いてくる。
作者のロバートソンは、高い地位の人や、特別な人たちよりも、あの家に住んでいる人たちや、あそこに止めてあるトラックの運転手たちのような、普通の人に興味があり、そういう普通の人たちの生活を題材にしたいと言っています。
曲全体を通して、アメリカ中南部の牧歌的な景色や生活感が感じられる、素晴らしい名曲だと思います。
歌詞の和訳「Up on Cripple Creek アップ・オン・クリップル・クリーク」
(原詞:太文字)
Up on Cripple Creek
When I get off of this mountain
俺がこの山を下りたら、
You know where I want to go?
どこへ行きたいかわかるかい?
Straight down the Mississippi River
ミシシッピ川をまっすぐ下って
To the Gulf of Mexico
メキシコ湾へ
To Lake Charles, Louisiana
それからルイジアナ州のレイクチャールズへ *1
Little Bessie, girl that I once knew
愛しのベッシーは、昔知り合った娘さ
She told me just to come on by
彼女はいつでも立ち寄ってと俺に言った
If there’s anything she could do
自分に何かできることがあればとね
Up on Cripple Creek, she sends me *2
クリップル・クリークへ、彼女は俺を向かわせる
If I spring a leak, she mends me
俺が水漏れを起こせば、彼女が塞いでくれる
I don’t have to speak, she defends me
何も言わなくても、彼女が守ってくれる
A drunkard’s dream if I ever did see on *3
今まで見た中で、最高の酒飲みの夢さ
2)
Good luck had just stung me *4
幸運というやつに騙されて
To the race track I did go
競馬場へ行った
She bet on one horse to win
彼女は勝ち馬に賭けた
And I bet on another to show
俺は見ものな馬に賭けた
The odds were in my favor
オッズは俺に有利だった
I had ‘em five to one
俺に5対1の分があった
When that nag to win came around the track *5
あの下馬評の馬が一周した時
Sure enough, she had won
案の定、彼女が勝った
Up on Cripple Creek, she sends me
クリップル・クリークへ、彼女は俺を向かわせる
If I spring a leak, she mends me
俺が水漏れを起こせば、彼女が塞いでくれる
I don’t have to speak, she defends me
何も言わなくても、俺を守ってくれる
A drunkard’s dream if I ever did see one
今まで見た中で、最高の酒飲みの夢さ
3)
I took up all of my winnings
俺は、稼いだ賞金すべてを手に取り
And I gave my little Bessie half
愛しいベッシーへ半分やった
She tore it up and threw it in my face
彼女はそれを破り、俺の顔へ投げつけた
Just for a laugh
ただ笑うために
Now there’s one thing in the whole wide world
今、この広い世界で一つだけ
I sure would like to see
俺がほんとうに見たいのは
That’s when that little love of mine
その一瞬さ、俺の愛しい恋人が
Dips her doughnut in my tea
ドーナツを俺の紅茶にちょっとつける
He-he!
ヘへ!
Up on Cripple Creek, she sends me
クリップル・クリークへ、彼女は俺を向かわせる
If I spring a leak, she mends me
俺が水漏れを起こせば、彼女が塞いでくれる
I don’t have to speak, she defends me
何も言わなくても、俺を守ってくれる
A drunkard’s dream if I ever did see one
今まで見た中で、最高の酒飲みの夢さ
4)
Now me and my mate were back at the shack
俺と相棒は小屋にもどり
We had Spike Jones on the box *6
スパイク・ジョーンズをかけた
She said, “I can’t take the way he sings
彼女はこう言った、「彼の歌い方はいただけない、
But I love to hear him talk”
でも彼のトークは大好きよ」
Now that just gave my heart a throb *7
そいつはまさに俺の心臓を揺さぶった
To the bottom of my feet
足の裏まで
And I swore as I took another pull
俺はまたビールを開けながら断言した
My Bessie can’t be beat
俺のベッシーには勝てないと
Up on Cripple Creek, she sends me
クリップル・クリークへ、彼女は俺を向かわせる
If I spring a leak, she mends me
俺が水漏れを起こせば、彼女が塞いでくれる
I don’t have to speak, she defends me
何も言わなくても、俺を守ってくれる
A drunkard’s dream if I ever did see one
今まで見た中で、最高の酒飲みの夢さ
No-no, hu-hu
ノーノー、フーフー
Lodl-lodl-lodl-uh-hu
ロディ、ロディ、ロディ、ウーフー
No-no-hu
ノーノーフー
Lodl-lodl-lodl-uh-hu
ロディ、ロディ、ロディ、ウーフー
5)
Now there’s a flood out in California
カリフォルニアでは洪水がおき
And up north it’s freezing cold
北は凍てつく寒さだ
And this living on the road is getting pretty old
この路上生活はかなり長くなった
So I guess I’ll call up my big mama *8
だから、ママに電話しようと思ってる
Tell her I’ll be rolling in
転がり込むと伝えるんだ
But you know deep down, I’m kind of tempted *9
でも心の底では、誘惑に駆られてるんだ
To go and see my Bessie again
俺のベッシーにまた会いに行きたいって
Up on Cripple Creek, she sends me
クリップル・クリークへ、彼女は俺を向かわせる
If I spring a leak, she mends me
俺が水漏れを起こせば、彼女が塞いでくれる
I don’t have to speak, she defends me
何も言わなくても、俺を守ってくれる
A drunkard’s dream if I ever did see one
今まで見た中で、最高の酒飲みの夢さ
No-no, hu-hu
ノーノー、フーフー
Lodl-lodl-lodl-uh-hu
ロディ、ロディ、ロディ、ウーフー
No-no-hu
ノーノーフー
Lodl-lodl-lodl-uh-hu
ロディ、ロディ、ロディ、ウーフー
Repeat)
キーワード
- *1. Lake Charles, Louisiana :「レイクチャールズ」はアメリカのルイジアナ州南西部の都市でメキシコ湾ともつながっている。
主人公はトラックでアメリカ中南部あたりからミシシッピ川流域を下り、メキシコ湾まで行き、そこからベッシーの住むルイジアナ州のレイクチャールズへ行ったと思われます。 - *2.
- Up on Cripple Creek :
- “Up on“は、冒頭の”When I get off of this mountain“「山から下りたら」の山を「クリップル・クリーク」と解し、「(クリップル・クリークの山」という意味と、彼女の住む南西部の「レイクチャールズ」から、中南部の「クリップル・クリーク」へと上るという意味で、「クリップル・クリークへ」としました。
- “Cripple Creek“「クリップル・クリーク」はコロラド州中南部のテラー郡に位置する都市で、1890年に金脈が見つかり、コロラドゴールドラッシュの始まりとなった都市。
- “she sends me“は、直訳では「彼女は俺を送る」ですが、「彼女の存在が俺を働かせる」という意味で、「彼女は俺を向かわせる」としました。
- Up on Cripple Creek :
- *3. A drunkard’s dream if I ever did see on : 文脈から”A best drunkard’s dream”と解し、「今まで見た中で、最高の酒飲みの夢さ」としました。
- *4. stung :”sting”は「(とげなどで)刺す」ですが、スラング的な意味で「騙されて」としました。
- *5. nag to win: 直訳では「勝つと口うるさい」ですが、分かりやすく「下馬評」としました。
- *6. We had Spike Jones on the box :
- “Spike Jones“スパイク・ジョーンズ(1911年12月14日-1965年5月1日)は、アメリカの音楽家でコメディアン。作者のロバートソンが、崇拝するくらい好きだと言っています。
- “had~on the box“文脈から、「(レコードを)かけた」としました。
- *7. gave my heart a throb: “throb”は「(名)躍動、動悸」なので、直訳では「俺の心臓に動悸を与えた」ですが、文脈から「俺の心臓を揺さぶった」としました。
- *8. big mama: 「一家の女性の主」「おばあちゃん」「恋人、妻」など、いろいろな意味で使われて断定できないので、「(古巣の家にいる)ママ」としました。
- *9. kind of tempted:「なんとなく誘われて」「少し誘惑されて」を文脈から「誘惑に駆られて」としました。
アーティストの紹介「The Band ザ・バンド」
インフォメーション
- 名前:The Band(ザ・バンド)
- オリジナル・メンバー:
- ロビー・ロバートソン(Gt.)
- リチャード・マニュエル(KB.)
- ガース・ハドソン(KB.&アコーディオン&SAX),
- リック・ダンコ(Bass)
- リヴォン・ヘルム(Dr.&Vo.)
- ※アメリカ出身はリヴォン・ヘルムのみで、他の4人はカナダ出身
- 活動期間:1967-1976年(メンバーチェンジにて1983-1999年)
- 結成地:アメリカ
- サマリー:ザ・バンドは、カナダでロニー・ホーキンス(アメリカのロックンローラー)のバックバンド(ザ・ホークス)として結成され、1960年代から1970年代にかけてアメリカで活躍したロックバンドで、ボブ・ディランのバックバンドとしての活動を経て、独自の音楽スタイルを確立した。
アーティストの軌跡
「ザ・バンド」はアメリカのロックンローラー、ロニー・ホーキンスのバックバンド(ホークス)として活動していましたが、その後ボブ・ディランのマネージャー(アルバート・グロスマン)の目に留まり、ボブ・ディランのバックバンドとして活動を始めました。
この時期、ディランはフォーク路線からエレキギターを使用してフォークロックへ転換しており、コンサートツアーの行く先々で、従来のフォークファンから大ブーイングを受けました。
これは、「ロイヤル・アルバート・ホール」での「ライク・ア・ローリングストーン」の動画で様子が伺えますが、この演奏が逆に彼らの知名度を高めました。
その後彼らは、ディランの交通事故のアクシデントもあり、ディランの誘いでウッド・ストックに「ビッグ・ピンク」と名づけられた家に住みつきました。
そこで行われたディランとのセッションは、ロック史上初の海賊盤「Great White Wonder」として流出し、1975年に「地下室(ザ・ベースメント・テープス)」としてリリースされました。
1968年に「ザ・バンド」と改名し、「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」をリリースし、バンドデビューを果たしました。
音楽性はロックにアメリカのルーツ音楽のカントリーやR&Bの要素を取り入れ、高い評価を受け、また当時より多くのミュージシャンからも尊敬を集めました。
特にエリック・クラプトンは、この「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」に衝撃を受け、クリームを去った原因にもなったとも言われています。
1989年にカナダのCanadian Music Hall of Fame殿堂入り、1994年にロックの殿堂入りしています。
そして、ローリング・ストーン誌選定の「歴史上最も偉大な100組のグループ」において、第50位にクレジットされました。
ディスコグラフィー
- オリジナル・アルバム
- 1968年 ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク Music From Big Pink (ゴールドディスク)
- 1969年 ザ・バンド The Band (プラチナディスク)
- 1970年 ステージ・フライト Stage Fright (ゴールドディスク)
- 1971年 カフーツ Cahoots
- 1972年 ロック・オブ・エイジズ Rock Of Ages (ゴールドディスク)
- 1973年 ムーンドッグ・マチネー Moondog Matinee
- 1975年 南十字星 Northern Lights – Southern Cross
- 1977年 アイランド Islands
- 1978年 ラスト・ワルツ The Last Waltz
- 再結成後
- 1993年 ジェリコ Jericho
- 1996年 ハイ・オン・ザ・ホッグ High On The Hog
- 1998年 Jubilation(※日本未発売)
- 編集盤、ベスト・アルバム
- 1976年 軌跡 The Best Of The Band (ゴールドディスク)
- 1978年 アンソロジー Anthology
- 1989年 トゥ・キングダム・カム To Kingdom Come
- 1995年 ライヴ・アット・ワトキンス・グレン Live at Watkins Glen
- 1999年 ※日本未発売 The Best of The Band, Vol. II
- 2000年 グレイテスト・ヒット Greatest Hits
- ボックス・セット
- 1994年 グレイト・ディバイド・ボックス Across The Great Divide
- 2002年 ラスト・ワルツ完全版 The Last Waltz
- 2005年 ザ・バンド・ボックス ミュージカル・ヒストリー A Musical History
- ボブ・ディランと共演
- ブロンド・オン・ブロンド – Blonde On Blonde(1966年)
- セルフ・ポートレイト – Self Portlate(1970年)
- ウディ・ガスリー・メモリアル・コンサート – A Tribute To Woody Guthrie, Part 1(1972年)
- プラネット・ウェイヴズ – Planet Waves(1974年)
- 偉大なる復活 – Before the Flood(1974年)(プラチナディスク)
- 地下室(ザ・ベースメント・テープス) – The Basement Tapes(1975年)(ゴールドディスク)
- ロイヤル・アルバート・ホール(ブートレッグ・シリーズ第4集) – The Bootleg Series Vol. 4: Bob Dylan Live 1966, The “Royal Albert Hall” Concert(1998年、リヴォン・ヘルムを除く)
*引用元:ザ・バンド-Wikipedia
アルバム
1968年 ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク / Music from Big Pink
1969年 ザ・バンド / The Band
1970年 ステージ・フライト / Stage Fright
1972年 ロック・オブ・エイジズ / Rock Of Ages
1975年 南十字星 / Northern Lights – Southern Cross
ライブ・アルバム
1974年 偉大なる復活 / Before the Flood
1978年 ラスト・ワルツ / The Last Waltz
ベスト・アルバム
2000年 The Band Greatest Hits
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