MENU

Coyote(コヨーテ) – Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)和訳

目次

曲の紹介

【曲 名】Coyote(コヨーテ)
【アーティスト】Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)
【作詞・作曲】Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)
【概 要】

1976年11月リリースされた彼女の8枚目のアルバム「Hejira/逃避行」に収録され、アメリカでは1977年1月、カナダでは同年6月にシングル・リリースされた。
このアルバム「逃避行」は、ローリングストーン誌が選んだ「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」(2020年版)において133位にランキングされている。

【記事引用元】: Coyote (song)-Wikipedia
【歌詞引用元】: Joni Mitchell–Coyote Lyrics-Genius

曲の解釈

この曲は、ジョニ・ミッチェルが参加した、1975年のボブ・ディランのライヴツアー「”Rolling Thunder Revue”ローリング・サンダー・レヴュー」中に書かれました。
歌詞の内容は、彼女がツアー中に知り合い、不倫の関係をもったアメリカの俳優「サム・シェパード」との関係を詳細に描いています。

題名の「コヨーテ」は、”coyote-ugly”と言われるように、「最悪の、ブスの、醜い」という意味があり、女性に節操がないサム・シェパードを皮肉をこめてコヨーテと呼んでいます。

シェパードは既婚者でしたが、ミッチェルとツアーで出会った当時、ツアー・マネージャーとも関係がありながら彼女を誘惑したことを、歌詞でこう言っています。
「彼の家には女性がいるし、別の女性が廊下の先にもいる」「それでも彼は、私を欲しいみたい」

歌詞の「あなたは、ヒッチハイカーを拾っただけ、フリーウェイの白線に捕らわれた囚人を」とは、ミッチェルが自分自身をヒッチハイカーにたとえて、「あなたとの関係は、たまたまヒッチハイクで乗っただけ、寂しくてヒッチハイクをしなくてはいられないから」と言っていると思います。

コヨーテとは何を言っているのだろう?とずっと思っていましたが、訳してみてほんとうに驚きました。
また、このサムにそうとう頭にきたのではないかと思うくらい、この作品は歌詞も詳細で深く、まるでディランの「Like a Rolling Stone」を彷彿とさせるような大作だと思いました。

動画は、原曲のレコード盤、ツアー当時にカナダのシンガー・ソングライター「ゴ-ドン・ライトフット」のトロントの自宅で、ボブ・ディランがギター伴奏をしてミッチェルが演奏している珍しい動画と、「The Band」の解散コンサート「The Last Waltz」での演奏を上げました。

Joni Mitchell - Coyote (Live at Gordon Lightfoot's Home with Bob Dylan & Roger McGuinn, 1975)
Joni Mitchell - Coyote (The Last Waltz)

歌詞の和訳

(原詞:太文字)

Coyote

No regrets, Coyote
後悔はないよ、コヨーテ
We just come from such different sets of circumstance
私たちは、まったくちがう状況から来ただけ
I’m up all night in the studios
私は、スタジオで徹夜してるし、
And you’re up early on your ranch
あなたは牧場で早起きして
You’ll be brushing out a broodmare’s tail
繁殖用の牝馬の尻尾をブラッシングするのね
While the sun is ascending
太陽が昇ってる間、
And I’ll just be getting home with my reel-to-reel *1
私はただ、オープンリールを持って帰宅するだけ
There’s no comprehending
理解できないことがある
Just how close to the bone and the skin and the eyes
どれだけ近づけるのか、骨や肌、そして目に
And the lips you can get
そしてあなたがキスをする唇に
And still feel so alone
それでも、こんなに孤独を感じる
And still feel related
それでも、まだ繋がりを感じる
Like stations in some relay
接続された中継局みたいに
You’re not a hit-and-run driver, no no *2
あなたはひき逃げドライバーじゃない、そう
Racing away
走って逃げる
You just picked up a hitcher
あなたは、ヒッチハイカーを拾っただけ
A prisoner of the white lines on the freeway *3
フリーウェイの白線に捕らわれた囚人を

2)
We saw a farmhouse burning down
私たちは、農場が焼け落ちるのを見た
In the middle of nowhere
人里離れた場所で
In the middle of the night
真夜中に
And we rolled right past that tragedy *4
私たちは、その悲劇を気にせず走り抜け
Till we turned into some roadhouse lights *5
ロードハウスの灯りへ向かった
Where a local band was playing
そこでは、地元のバンドが演奏していた
Locals were up kicking and shaking on the floor
地元の人たちは、蹴って床を震わせていた
And the next thing I know
そしてふと気が付くと
That coyote’s at my door *6
コヨーテが私のすぐ近くに来て
He pins me in a corner and he won’t take no *7
彼は私を隅に押しつけ、ノーと言わせなかった
He drags me out on the dance floor
私を、ダンスフロアーへと引きずり出し
And we’re dancing close and slow
そして私たちは、寄り添いながらゆっくり踊った
Now he’s got a woman at home
今、彼の家には女性がいるし
He’s got another woman down the hall
別の女性が、廊下の先にもいる
He seems to want me anyway
それでも彼は、私を欲しいみたい
Why’d you have to get so drunk
どうして、あんなに酔って
And lead me on that way?
私をあんな風に誘ったの?
You just picked up a hitcher
あなたは、ヒッチハイカーを乗せただけ
A prisoner of the white lines on the freeway
フリーウェイの白線に捕らわれた囚人を

3)
I looked a coyote right in the face
私はコヨーテと目の前で出くわした
On the road to Baljennie near my old hometown *8
私の故郷、バルジェニーへ向かう道の途中で
He went running through the whisker wheat *9
彼はひげ小麦畑を駆け抜けていった
Chasing some prize down
何かの賞を追いかけて
And a hawk was playing with him
そしてタカが彼と遊んでた
Coyote was jumping straight up and making passes *10
コヨーテは跳躍し、求愛のパスを出していた
He had those same eyes just like yours
彼はあなたと同じような目をしてた
Under your dark glasses
あなたの暗いメガネの下にある
Privately probing the public rooms
個人的に公共の部屋を調べて
And peeking through keyholes in numbered doors
番号がついた部屋の鍵穴から、覗いてみると
Where the players lick their wounds
そこでは、プレーヤーが傷を舐めあい
And take their temporary lovers
むさぼってる、その場の恋人と
And their pills and powders to get them through this passion play
この激情のプレーを乗り越えるためのピルや粉を
No regrets, Coyote
後悔はないよ、コヨーテ
I just get off up aways
私はすぐに立ち去るわ
You just picked up a hitcher
あなたは、ヒッチハイカーを乗せただけ
A prisoner of the white lines on the freeway
フリーウェイの白線に捕らわれた囚人を

4)
Coyote’s in the coffee shop
コヨーテはカフェで、
He’s staring a hole in his scrambled eggs
彼は、スクランブルエッグをじっと見てる
He picks up my scent on his fingers
指先に、私の匂いを嗅ぎ取ってる
While he’s watching the waitresses’ legs
彼が、ウエイトレスの足を眺めてる間も
He’s too far from the Bay of Fundy *11
あまりにファンディ湾から遠くはなれてる
From appaloosas and eagles and tides *12
馬やワシに潮の干満から
And the air-conditioned cubicles *13
そして空調の効いた小部屋に
And the carbon ribbon rides *14
そして載せられるカーボンリボン
Are spelling it out so clear
そこにはっきりと綴られている
Either he’s going to have to stand and fight
彼は立って戦うか、
Or take off out of here
あるいは、ここから出ていかなくてはならないと
I tried to run away myself
私も、自分から逃げようとした
To run away and wrestle with my ego
逃げて戦おうと、自分のエゴと
And with this flame
そしてこの炎と
You put here in this Eskimo
それは、あなたがこのエスキモーの中に置いた
In this hitcher
このヒッチハイカーの中に、
In this prisoner
この囚人の中に、
Of the fine white lines
白線に捕らわれた
Of the white lines on the free freeway
フリーウェイの白線に捕らわれた

キーワード

*1. reel-to-reel:「オープンリール式の」のオープンリールとは、カセット・テープよりももっと幅広い録音テープのことをいい、主にスタジオなどの音質が求められる現場で使われていました。

*2. no no:「ちがう」と言っていますが、ここは文脈から「そう」としました。

*3. A prisoner of the white lines on the freeway:自分をヒッチハイカーに例えていますので、「フリーウェイに気が付いたら立たってしまう自分」という意味で、「フリーウェイの白線に捕らわれた囚人」としました。

*4. we rolled right past that tragedy:”roll past”は「通過する」”right”は「すぐに、直ちに」と解して、
「私たちはその悲劇を、気にせず走り抜け」としました。

*5. turned into: ここは「~に変わる」ではなく、「進路を~に向ける」の意味で訳し、「~へ向かった」としました。

*6. at my door:「ドアに、ドアで」の意味ではなく、「すぐ近く」と訳しました。

*7. he won’t take no:”he won’t take no for an answear”「嫌とは言わせない」の意味で、「ノーと言わせなかった」としました。

*8. Baljennie:「バルジェニー」は、かつてゴーストタウンにもなったカナダの小さな町

*9. the whisker wheat:”whisker”「ひげ」は、小麦の穂からでている突起を、ひげと表現していると思われます。

*10. making passes:ここは、スポーツでの「パスを出す」ではなく、「(異性を)口説く」意味で、「求愛のパスを出す」としました。

*11. Bay of Fundy: 「ファンディ湾」は、北米の大西洋岸にある湾

*12. From appaloosas and eagles and tides: “appaloosas”は斑点のある尻を持つ北米西部で改良された頑丈な馬(英ナビより)、”tides”は「潮」で複数形なので、「潮の干満」としました。
前述のファンディ湾は潮の干満が激しいことで有名とのことです。

*13. the air-conditioned cubicles: 1番の歌詞に、「音楽スタジオ」が出てくるので、スタジオの意味で「空調の効いた小部屋」としました。

*14. the carbon ribbon rides: 1番の歌詞に、「オープンリール」が出てくるので、録音テープの意味で「載せられるカーボン・リボン」としました。
厳密には、カーボン・リボンはタイプライターに使われ、録音テープは磁気テープといいますが、文脈から録音テープとして訳しました。

アーティストの紹介

【名 前】Joni Mitchell(ジョニ・ミッチェル)
*出生名:Roberta Joan Anderson(ロバータ・ジョーン・アンダーソン)
【生 誕】1943年11月7日
【出身地】カナダ、アルバータ州フォート・マクラウド
【概 要】

ジョニ・ミッチェルは、カナダ出身でアメリカのシンガーソングライター、プロデューサーです。
1960年代のフォーク音楽で注目を集めた後、ポップやジャズの要素を取り入れた独自の音楽スタイルで知られるようになりました。

彼女は11回のグラミー賞を受賞し、ロックンロールの殿堂入りも果たしています。

彼女の音楽は、個人的で詩的な歌詞と革新的な作曲で高く評価されています。

ミッチェルのキャリアは、カナダのナイトクラブから始まり、1965年からアメリカでのツアーを開始しました。

彼女は1968年にデビューアルバム「Song to a Seagull」をリリースし、その後「Both Sides,Now」、「Big Yellow Taxi」、「Woodstock」、「Blue」などのヒット曲を生み出しました。

1971年リリースアルバム「BLUE」は特に評価が高く、ローリング・ストーン誌の「歴代最高のアルバム500-2020年版」で3位に選ばれました。

1970年代半ばからはジャズに影響された音楽を探求し、ジャコ・パストリアスやハービー・ハンコックなどのジャズミュージシャンと共演しました。

ミッチェルは自身のアルバムの多くをプロデュースし、アルバムカバーのデザインも自分でデザインしています。

自分で「事情により脱線した画家」というくらい、彼女の画家としての才能は、視覚芸術の分野においても認められています。

ミッチェルのアルバムカバーは、彼女の個性と音楽を視覚的に表現した作品として、ファンの間で高く評価されています。

2015年には健康問題を経験しましたが、その後復帰し、2021年にはケネディ・センター名誉賞を受賞するなど、数々の賞を受賞しています。

ジョニ・ミッチェルの芸術性は、音楽のみならず、彼女が手掛けるアルバムのビジュアルアートにも表れています。自らを「事情により脱線した画家」と称する彼女の多才ぶりは、音楽界だけに留まらず、視覚芸術の分野においても認められています。

ミッチェルのアルバムカバーは、彼女の個性と音楽を視覚的に表現した作品として、ファンの間で高く評価されています。

ミッチェルの独創的で影響力のあるキャリアは、音楽界において重要な役割を果たしてきました。
彼女の音楽は、今後も多くの人々の心に残り、また多くのアーティストへ影響し続けると思われます。

代表アルバム

1969年 Clouds/青春の光と影

1971年 BLUE/ブルー

1974年 Court And Spark /コート・アンド・スパーク

1975年 The Hissing Of Sum-mer Lawns /夏草の誘い

よかったらシェアしてね
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次