曲の紹介
【曲名】All Along the Watchtower (見張塔からずっと)
【アーティスト】Bob Dylan(ボブ・ディラン)
【作詞・作曲】Bob Dylan(ボブ・ディラン)
【概要】ボブ・ディランが1967年12月にリリースした8枚目のスタジオアルバム「John Wesley Harding/ジョン・ウェズリー・ハーディング」に収録された楽曲。
ライブでも多く演奏され、彼の他のアルバムにも多く収録されている。
多くのアーティストがカバーをしていて、その中でもジミ・ヘンドリックスのカバー・バージョンは、彼の2枚組アルバム「Electric Ladyland/エレクトリック・レディランド」に収録され大ヒットとなり、ディランも絶賛したようです。
ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2004年版)では47位にランキングされている。
(参照元 : All Along the Watchtower -Wikipedia)
(画像引用元 : All Along the Watchtower -Wikipedia)
曲の解釈
この曲は、初期の聖書「イザヤ書」第21章の、見張り塔から馬に乗った二人の男が来るのが見えたとき、バビロンが崩壊したことを知るという逸話から発想されたようです。
とても抽象的で意味が分かりずらいですが、道化師と泥棒が実業家や農夫たちが無秩序な反社会的行為をするのを責めているのは、面白いなと思いました。
現代社会における地位や権力者が、悪いことをするような風刺に思えてしまいます。
好きなカバーバージョンの中でも、ジミヘンのバージョンはロック調に仕上げていて、とにかくギターソロがカッコいいです。
デイブ・メイソンのバージョンは同じロック調でも、ジミヘンとちがった味わいがあって、とても素敵です。ぜひ、聴き比べてみてください。
歌詞の和訳
(原詞:太文字)
All Along the Watchtower
“There must be some way out of here,”
「きっと道はあるはず、ここから抜け出せる」
said the joker to the thief
道化師は泥棒に言った
There’s too much confusion,
あまりに無秩序すぎて
I can’t get no relief *1
気が休まらない
Businessmen, they drink my wine, *2
実業家たちは、俺のワインを飲んでるし、
plowmen dig my earth
農夫たちは、俺の土地を掘り起こしてる
None of them along the line
誰も秩序に従わないし
know what any of it is worth
事の重大さを、まるで分かっちゃいない
2)
“No reason to get excited,”
「怒る必要なんてないさ」
the thief, he kindly spoke
泥棒はやさしく話しかけた
There are many here among us, *3
ここの連中の中には、たくさんいる
who feel that life is but a joke
人生なんて、ほんのジョークだと思ってる奴らが
But you and I, we’ve been through that
だけどお前と俺は、なんとかすり抜けてきたじゃないか
and this is not our fate
これって俺たちのさだめじゃないよな
So let us not talk falsely now,
だから、無意味な話はもうやめようぜ
the hour is getting late
もうこんな時間になっちまった
3)
All along the watchtower,
見張り塔からずっと
princes kept the view
プリンセスは見ていた
While all the women came and went,
女たちがみな、逃げ惑う様子を
barefoot servants too
裸足の召使たちと共に
Outside in the distance
はるか彼方で
a wildcat did growl
ヤマネコがうなり声をあげた
Two riders were approaching,
騎乗の二人は、しだいに近寄り
the wind began to howl
風がうなりを上げ始めた
キーワード
*1 relief : 安心(苦痛、心配などの除去、軽減)
*2 Businessmen : 実業家、経営者(日本でいうビジネスマンはoffice worker)
*3 here among us : ここの私たちの中に~ここの連中としました
アーティストの紹介
【名 前】Bob Dylan(ボブ・ディラン)
*出生名:ロバート・アレン・ジマーマン(Robert Allen Zimmerman)
【生誕】1941/5/24-
【出身地】アメリカ ミネソタ州ヒビング(生誕はミネソタ州ダルース)
【概要】ミネソタ大学を中退後、ミネアポリスでフォークシンガーとして活動を始める。このころから「ボブ・ディラン」と名乗るようになる。
その後、ニューヨークにてアルバム「ボブ・ディラン」でデビューする。
1963年に2枚目のアルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」をリリースし、「風に吹かれて」をPPMがカバーして大ヒットし、有名となる。
彼の代表曲の「風に吹かれて」や「The Times They Are a-Changin’」などは、当時のアメリカの差別社会に対する公民権運動や反戦運動のアンセムともなった。
フォーク界の貴公子とも呼ばれ世界中に名前が広がって行ったが、1965年リリースされた「ライク・ア・ローリング・ストーン」では、エレキギターを持ち、バックにThe Bandを従えてロックの演奏に切り替え、フォークからフォークロックへ演奏形態を変えた。
(1966年ロイヤル・アルバートホールでのライブで、観客から「ユダ(裏切者)」と言われ、それに対して音量を上げて演奏したエピソードがライブ動画に残っています。)
その後、多くの賞(2012年大統領自由勲章、グラミー賞10回以上、アカデミー賞等)を受賞し、2016年「偉大なアメリカ音楽の歴史上で、新しい詩的表現を生んだ」としてノーベル文学賞を受賞している。
(彼は賞や名誉に興味がないのか、あるいは自分の音楽が文学として認められたことに対する抵抗があったのかもしれませんが、当初受賞に無反応で授賞式も欠席しています。)
アルバムの紹介
アルバム
1963年 フリーホイーリン・ボブ・ディラン / The Freewheelin’ Bob Dylan
1964年 時代は変わる / The Time They Are a-Changin
1965年 追憶のハイウェイ61 / Highway 61 Revisited
1965年 ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム / Bringing It All Back Home
1966年 ブロンド・オン・ブロンド / Blond on Blonde
1975年 血の轍 / Blood on the Tracks
1976年 欲望 / Desire
ライブ・アルバム
1974年 偉大なる復活 / Before the Flood
ベスト・アルバム
1967年 ボブ・ディランのグレーテスト・ヒット / Bob Dylan’s Greatest Hits
1971年 グレーテスト・ヒット第2集 / Bob Dylan’s Greatest Hits Vol. II