曲の紹介「Stage Fright ステージ・フライト」
インフォメーション
- 曲名:Stage Fright(ステージ・フライト)
- アーティスト:The Band(ザ・バンド)
- 作詞・作曲:Robbie Robertson(ロビー・ロバートソン)
- リリース:1970年8月17日(アルバム「Stage Fright / ステージ・フライト」)
- サマリー:The Bandが1970年にリリースした3枚目のアルバム「Stage Fright」のタイトル曲
アルバムは、ビルボード・アルバムチャートで5位を記録した。
- 記事参照元:
- Stage Fright (The Band song)-Wikipedia
- ザ・バンド-Wikipedia
- 原詞引用元:Stage Fright-Genius
曲について
「ステージ・フライト」は彼らの3枚目のアルバム「Stage Fright」のタイトル曲です。
このアルバムは、トッド・ラングレンがエンジニアを務め、録音もシーズンオフの劇場で行われ、彼ら自身がプロデュースしました。
私には、1枚目「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」2枚目「ザ・バンド」の成功から、何か抜け出したい、既定路線を変えたいという想いを感じます。
その想いが、まさしくこの曲「ステージ・フライト」の歌詞に表れているように思います。
歌詞は、作者のロビー・ロバートソンが、自分の「あがり症」の経験について書いていると言っています。
貧しく農家で育った少年が、ある時音楽で富と名声を得た。しかし、そのことが彼には重くのしかかる。ステージでは、本来の「あがり症」がでて、演奏もやり直したいくらい。
そんな時に、医者からのアドバイスで、自分を隠して演じることを知る。
「さあ、今が正念場だ」「立ち向かうんだ」と挑戦する主人公。
まさに、The Band自体が1枚目、2枚目アルバムで得た富と名声に恐れながらも、新しいことに挑戦してこの3枚目アルバム「ステージ・フライト」をリリースした姿に重なります。
演奏は、リック・ダンゴ(ベース)の情念のボーカルが、この曲にとても合って素敵です。
曲の動画
- 以下の動画をアップしています。
- Stage Fright (Remastered 2000) The Band@TheBandOfficial
- Stagefright (Concert Version) The Band@TheBandOfficial
- The Band/Stagefright Live/The Last Waltz WBM/Music
歌詞の和訳「Stage Fright ステージ・フライト」
(原詞:太文字)
Stage Fright
Now deep in the heart of a lonely kid
今、孤独な少年の心の奥深くで
Who suffered so much for what he did *1
彼は自分で成したことでとても傷ついた
They gave this ploughboy his fortune and fame *2
この農夫の少年に富と名声が授けられた
Since that day he ain’t been the same
あの日から彼は普通でいられなくなった
See the man with the stage fright
あがっている男を見てみろ
Just standin’ up there to give it all his might *3
あそこでただ立ってるだけが精いっぱいで
And he got caught in the spotlight
スポットライトに照らしだされた
But when we get to the end
だが最後まで行くと
He wants to start all over again
また最初からやり直したがる
2)
I’ve got fire water right on my breath *4
俺は強い酒を一気に飲み干し
And the doctor warned me I might catch a death
そして医者から死んでしまうと警告を受けた
Said, “You can make it in your disguise
彼は言った「君は変装すればいい、
Just never show the fear that’s in your eyes”
目の中の恐怖を見せないで」
See the man with the stage fright
あがっている男を見てみろ
Just standin’ up there to give it all his might
あそこでただ立ってるだけが精いっぱいで
And he got caught in the spotlight
スポットライトに照らしだされた
But when we get to the end
だが最後まで行くと
He wants to start all over again
また最初からやり直したがる
Now if he says that he’s afraid
彼が怖いと言うなら
Take him at his word *5
彼の言葉を信じよう
And for the price that the poor boy has paid
貧しい少年が払ってきたその代償さ
He gets to sing just like a bird, oh, ooh ooh ooh
彼はまるで鳥のように歌える、オー、オーオーオー
3)
Your brow is sweatin’ and your mouth gets dry
額には汗がにじみ、口は乾く
Fancy people go driftin’ by
派手な人たちが通り過ぎていく
The moment of truth is right at hand *6
正念場がまさにきてる
Just one more nightmare you can stand
もう一度、悪夢に立ち向かえる
See the man with the stage fright
あがっている男を見てみろ
Just standin’ up there to give it all his might
あそこでただ立ってるだけが精いっぱいで
And he got caught in the spotlight
スポットライトに照らしだされた
But when we get to the end
だが最後まで行くと
He wants to start all over again
また最初からやり直したがる
Hmm hmm
フー、フー
You wanna try it once again, hmm hmm
君は挑戦したがってる、もう一度、フー、フー
Please, don’t make him stop, hmm hmm
どうか、彼を止めないでくれ、フー、フー
Let him take it from the top, hmm hmm
最初から演らせてやれ、フー、フー
Let him start all over again
やり直させてやれ
キーワード
- *1. for what he did : 直訳では「彼が行ったことのため」ですが、この「行ったこと」は次に「富と名声」が来ますので文脈から「彼が成したこと」としました。
- *2. ploughboy : 辞書(Weblio)では「すきをひく動物を引いて行く少年」とありますが、分かりやすく「農夫の少年」としました。
- *3. all his might : 「一生懸命に」「全力を尽くして」から「精一杯に」としました。
- *4. on my breath: “on breath”が「一息、一気」なので、「一気に(飲み干す)」としました。
- *5. Take him at his word: “take at word”「の言葉を真に受ける」「そのまま信じる」
- *6. The moment of truth: 「正念場、決定的瞬間、最後の審判の瞬間」という意味の慣用句
アーティストの紹介「The Band ザ・バンド」
インフォメーション
- 名前:The Band(ザ・バンド)
- オリジナル・メンバー:
- ロビー・ロバートソン(Gt.)
- リチャード・マニュエル(KB.)
- ガース・ハドソン(KB.&アコーディオン&SAX),
- リック・ダンコ(Bass)
- リヴォン・ヘルム(Dr.&Vo.)
- ※アメリカ出身はリヴォン・ヘルムのみで、他の4人はカナダ出身
- 活動期間:1967-1976年(メンバーチェンジにて1983-1999年)
- 結成地:アメリカ
- サマリー:ザ・バンドは、カナダでロニー・ホーキンス(アメリカのロックンローラー)のバックバンド(ザ・ホークス)として結成され、1960年代から1970年代にかけてアメリカで活躍したロックバンドで、ボブ・ディランのバックバンドとしての活動を経て、独自の音楽スタイルを確立した。
アーティストの軌跡
「ザ・バンド」はアメリカのロックンローラー、ロニー・ホーキンスのバックバンド(ホークス)として活動していましたが、その後ボブ・ディランのマネージャー(アルバート・グロスマン)の目に留まり、ボブ・ディランのバックバンドとして活動を始めました。
この時期、ディランはフォーク路線からエレキギターを使用してフォークロックへ転換しており、コンサートツアーの行く先々で、従来のフォークファンから大ブーイングを受けました。
これは、「ロイヤル・アルバート・ホール」での「ライク・ア・ローリングストーン」の動画で様子が伺えますが、この演奏が逆に彼らの知名度を高めました。
その後彼らは、ディランの交通事故のアクシデントもあり、ディランの誘いでウッド・ストックに「ビッグ・ピンク」と名づけられた家に住みつきました。
そこで行われたディランとのセッションは、ロック史上初の海賊盤「Great White Wonder」として流出し、1975年に「地下室(ザ・ベースメント・テープス)」としてリリースされました。
1968年に「ザ・バンド」と改名し、「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」をリリースし、バンドデビューを果たしました。
音楽性はロックにアメリカのルーツ音楽のカントリーやR&Bの要素を取り入れ、高い評価を受け、また当時より多くのミュージシャンからも尊敬を集めました。
特にエリック・クラプトンは、この「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」に衝撃を受け、クリームを去った原因にもなったとも言われています。
1989年にカナダのCanadian Music Hall of Fame殿堂入り、1994年にロックの殿堂入りしています。
そして、ローリング・ストーン誌選定の「歴史上最も偉大な100組のグループ」において、第50位にクレジットされました。
ディスコグラフィー
代表アルバム
- オリジナル・アルバム
- 1968年 ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク Music From Big Pink (ゴールドディスク)
- 1969年 ザ・バンド The Band (プラチナディスク)
- 1970年 ステージ・フライト Stage Fright (ゴールドディスク)
- 1971年 カフーツ Cahoots
- 1972年 ロック・オブ・エイジズ Rock Of Ages (ゴールドディスク)
- 1973年 ムーンドッグ・マチネー Moondog Matinee
- 1975年 南十字星 Northern Lights – Southern Cross
- 1977年 アイランド Islands
- 1978年 ラスト・ワルツ The Last Waltz
- 再結成後
- 1993年 ジェリコ Jericho
- 1996年 ハイ・オン・ザ・ホッグ High On The Hog
- 1998年 Jubilation(※日本未発売)
- 編集盤、ベスト・アルバム
- 1976年 軌跡 The Best Of The Band (ゴールドディスク)
- 1978年 アンソロジー Anthology
- 1989年 トゥ・キングダム・カム To Kingdom Come
- 1995年 ライヴ・アット・ワトキンス・グレン Live at Watkins Glen
- 1999年 ※日本未発売 The Best of The Band, Vol. II
- 2000年 グレイテスト・ヒット Greatest Hits
- ボックス・セット
- 1994年 グレイト・ディバイド・ボックス Across The Great Divide
- 2002年 ラスト・ワルツ完全版 The Last Waltz
- 2005年 ザ・バンド・ボックス ミュージカル・ヒストリー A Musical History
- ボブ・ディランと共演
- ブロンド・オン・ブロンド – Blonde On Blonde(1966年)
- セルフ・ポートレイト – Self Portlate(1970年)
- ウディ・ガスリー・メモリアル・コンサート – A Tribute To Woody Guthrie, Part 1(1972年)
- プラネット・ウェイヴズ – Planet Waves(1974年)
- 偉大なる復活 – Before the Flood(1974年)(プラチナディスク)
- 地下室(ザ・ベースメント・テープス) – The Basement Tapes(1975年)(ゴールドディスク)
- ロイヤル・アルバート・ホール(ブートレッグ・シリーズ第4集) – The Bootleg Series Vol. 4: Bob Dylan Live 1966, The “Royal Albert Hall” Concert(1998年、リヴォン・ヘルムを除く)
*引用元:ザ・バンド-Wikipedia
アルバム
1968年 ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク / Music from Big Pink
1969年 ザ・バンド / The Band
1970年 ステージ・フライト / Stage Fright
1972年 ロック・オブ・エイジズ / Rock Of Ages
1975年 南十字星 / Northern Lights – Southern Cross
ライブ・アルバム
1974年 偉大なる復活 / Before the Flood
1978年 ラスト・ワルツ / The Last Waltz
ベスト・アルバム
2000年 The Band Greatest Hits
コメント