曲の紹介
【曲 名】White Room(ホワイト・ルーム)
【アーティスト】Cream(クリーム)
【作詞】Pete Brown(ピート・ブラウン)
【作曲】Jack Bruce(ジャック・ブルース)
【概 要】1968年「Wheels of Fire/クリームの素晴らしき世界」に収録され、その後シングル・リリースされた。
ローリング・ストーン誌の「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500(2004年版)」において367位にランクインした。
【記事参照元】Wikipedia:White Room
【写真引用元】Wikipedia:White Room
【原詩引用元】GENIUS:White Room
曲の解釈
この曲は、ベースのジャック・ブルースが作曲し、彼の友人で詩人、ミュージシャンのピート・ブラウンが作詞しました。
彼は当時、「A Whiter Shade of Pale / 青い影」をリリースしたイギリスのロックバンドのプロコル・ハルムとも親交があったとのことで、この曲の歌詞は「青い影」を彷彿させるような深さがあります。
この曲は、様々なアーティストがカバーしているように、様々な解釈ができる抽象的な内容になっています。
私は訳してみて思ったのは、別れを選んだ恋人を駅で見送る主人公の哀しい想いと、どうせ今のどうでもいい世界から抜け出せないなら、ここでいつまでも彼女を待つという気持ちが伺えます。
しかし、視点を変えると、そもそもの原題のWhite room(白い部屋)とBlack curtains(黒いカーテン)、そしてBlack roof country(黒ずんだ屋根ばかりの国)など、かつて世界を席巻したイギリスの衰退、荒廃を表現しているようにも思います。
ジャック・ブルースのロックなビートに、ピート・ブラウンの哀しさがにじみ出ている歌詞が、とても奥深いハーモニーを醸し出している名曲だと思います。
歌詞の和訳
(原詞:太文字)
White Room
In a white room with black curtains near the station
白い部屋の中、黒いカーテンがかかり、そこは駅近く
Black roof country, no gold pavements, tired starlings *1
黒ずんだ屋根ばかりの国、輝かない敷石、飛べないムクドリ
Silver horses ran down moonbeams in your dark eyes
銀の馬たちが月光を流れ落とした、君の暗い瞳の中に
Dawn light smiles on you leaving, my contentment *2
夜明けの光が去り行く君に微笑んだ、俺もうれしい
I’ll wait in this place where the sun never shines
俺はこの場所で待つさ、決して太陽が輝かないところで
Wait in this place where the shadows run from themselves
この場所で待つさ、影が自ら広がっていくところで
2)
You said no strings could secure you at the station *3
君は言った、心が休まらない調べばかり、駅では
Platform ticket, restless diesels, goodbye windows
入場券、騒々しいディーゼル車両、別れを惜しむ窓
I walked into such a sad time at the station
俺は踏み入れてしまった、そんな哀しい駅での時間に
As I walked out, felt my own need, just beginning
俺は立ち去りながら、必要だと感じた、今始めることが
I’ll wait in the queue when the trains come back
俺は並んで待つさ、列車が戻ってくる時を
Lie with you where the shadows run from themselves
君を抱くんだ、影が自ら広がっていくところで
3)
At the party, she was kindness in the hard crowd
パーティーでは彼女はやさしかった、やっかいな連中の中でも
Consolation for the old wound now forgotten
慰めだった、古傷を癒してくれた、今では懐かしい
Yellow tigers crouched in jungles in her dark eyes
黄色いトラがうずくまっていた、ジャングルで、彼女の暗い瞳の中の
She’s just dressing, goodbye windows, tired starlings
彼女は身支度をしている、別れを惜しむ窓、飛べないムクドリ
I’ll sleep in this place with the lonely crowd
俺はこの場所で眠るさ、孤独な群衆と共に
Lie in the dark where the shadows run from themselves
暗闇に横たわるさ、影が自ら広がっていくところで
キーワード
*1. Black roof country, no gold pavements, tired starlings:
Black roof country:直訳では「黒い屋根の国ですが、廃退している国を表現したく「黒ずんだ屋根ばかりの国」としました。
no gold pavements:直訳では「金ではない敷石、舗装道」ですが、文脈から「輝かない敷石」としました。
tired starlings:直訳では「疲れたムクドリ」ですが、文脈から「飛べないムクドリ」としました。
*2. my contentment:直訳では「私の満足」ですが、文脈から「私もうれしい」としました。
*3. no strings could secure you at the station:このstringsの意味は「文字列、糸、弦楽演奏」などいろいろにとれますが、次行の「入場券、騒々しいディーゼル車両、別れを惜しむ窓」から「調べ」とし、「心が休まらない調べばかり、駅では」としました。
アーティストの紹介
【名 前】Cream(クリーム)
【メンバー】
エリック・クラプトン(ギター・ボーカル)
ジャック・ブルース(ベース・ボーカル)
ジンジャー・ベイカー(ドラムス)
【活動期間】1966-1968年
【結成地】イギリス・ロンドン
【概要】ジンジャー・ベイカーが当時「ジョン・メイオール&ブルースブレイカーズ」にいたエリック・クラプトンをバンドに誘ったが、クラプトンは当時「マンフレッド・マン」にいたジャック・ブルースをベースにという条件を出した。
ベイカーとブルースは非常に仲が悪かったが、ベイカーが承諾して1966年に結成された。
各メンバーは当時それぞれイギリスにおいてミュージシャンの間では、「cream of the crop(選りすぐりのもの)」と呼ばれるほど定評があった。
このころのエピソードでは、ジミ・ヘンドリックスが憧れていたクラプトンと共演し、ヘンドリックスの演奏テクニックにクラプトンが驚いて泣きそうになったと言われている。
デビューアルバム「フレッシュ・クリーム」はイギリスのチャートで6位、アメリカのチャートで39位を獲得した。
3人の演奏はお互いの高い演奏力でアドリブをぶつけ合うもので、2年の短い活動にもかかわらず他のミュージシャンたちへ大きな影響を残した。
アルバムの紹介
1966年 フレッシュ・クリーム / Fresh Cream
1967年 カラフル・クリーム / Disraeli Gears
1968年 クリームの素晴らしき世界 /Wheels of Fire
1969年 グッバイ・クリーム / Goodbye Cream
1970年 ライヴ・クリーム / Live Cream
1972年 ライヴ・クリーム Vol.2 / Live Cream Volume II
2016年 ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・クリーム / the very best of CREAM