曲の紹介「The Times They Are a-Changin’ 時代は変る」
【曲名】The Times They Are a-Changin’ (時代は変る)
【アーティスト】Bob Dylan(ボブ・ディラン)
【作詞・作曲】Bob Dylan(ボブ・ディラン)
【概要】ボブ・ディランが1964年1月にリリースした3枚目のスタジオアルバム「The Times They Are a-Changin’」に収録されたタイトルナンバーの楽曲。
ピーター・ポール&マリーやサイモン&ガーファンクルなど多くのアーティストがカバーをしている。
ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテストソング500(2004年版)では59位にランキングされている。ちなみに1位はディランの”Like a Rolling Stone”がランキングされている。
【記事参照元】The Times They Are a-Changin’ -Wikipedia
【原詞引用元】The Times They Are a-Changin’ -Genius
曲の解釈
ディラン曰く、この曲はアイルランドやスコットランドの古い民謡の”ballads”(バラッド)を原型としているとのことです。
また、ケネディ大統領の就任演説からインスピレーションを受けて作られたと言われています。
当時の人種差別に抗議するアフリカ系アメリカ人公民権運動が背景にあるようです。
曲調は、イングランドの古いバラッドのように単調で語り調ですが、そのぶん主張する言葉がとても鋭く聴く人に刺さる気がします。
この曲をリリースした当時、23才であったディランの「変わらない社会」に対する不満や、古い体制を変えていきたい気持ちを、若い感性で強く主張しています。
約半世紀以上前の歌ですが、ほんとうに今の世界に当てはまるような気がしてなりません。
特に1番の「取り囲まれ、増えてきている水」は、まるで地球環境の悪化を言っているように思えてなりません。
ぜひ、若い方に聴いて欲しい大作の一つです。
多くのミュージシャンがカバーしていますが、ここではピーター・ポール&マリーをアップしました。とても素晴らしいハーモニーですので聴いてみてください。
歌詞の和訳「The Times They Are a-Changin’ 時代は変る」
(原詞:太文字)
The Times They Are a-Changin’
Come gather ‘round people *1
さあ集まれ、人々よ
Wherever you roam
どこをさまよい歩こうと
And admit that the waters
認めることになる、その水が
Around you have grown
自分たちの周りで増してきてると
And accept it that soon
そして被るんだ、すぐに
You’ll be drenched to the bone *2
びしょ濡れになるだろう、骨の髄まで
If your time to you
もしあなた方の時代が
Is worth savin’
残す価値があるなら、
Then you better start swimmin’
即座に泳ぎはじめた方がいい
Or you’ll sink like a stone
さもないと、石のように沈んでいく
For the times they are a-changin’
時代、それは変わっていくのだから
2)
Come writers and critics
さあ、作家や批評家たちよ
Who prophesize with your pen
予言する者よ、手持ちのペンで
And keep your eyes wide
目を広く開けておけ
The chance won’t come again
チャンスは二度と訪れない
And don’t speak too soon
口走るんじゃない、軽率に
For the wheel’s still in spin *3
ルーレットは、まだ回っている
And there’s no tellin’ who *4
予想もつかないさ、誰とも
That it’s namin’
その名前なんて
For the loser now
たとえ今は敗者でも
Will be later to win
後に勝者になるのさ
For the times they are a-changin’
時代、それは変わっていくのだから
3)
Come senators, congressmen
さあ、上院、下院議員たちよ
Please heed the call *5
どうか、呼びかけに耳を傾けてくれ
Don’t stand in the doorway
入り口に立つんじゃない
Don’t block up the hall
ホールを塞ぐんじゃない
For he that gets hurt
それは彼のように、傷つくのは
Will be he who has stalled *6
立ち往生する者だから
There’s a battle outside
外では争いが起きて、
And it is ragin’
そして激しくなっている
It’ll soon shake your windows
それは、すぐにあなた達の窓を揺らし、
And rattle your walls
あなた達の壁を震わせるだろう
For the times they are a-changin’
時代、それは変わっていくのだから
4)
Come mothers and fathers
さあ、母や、父たちよ
Throughout the land
この国中の
And don’t criticize
批判するんじゃない
What you can’t understand
自分たちが理解できないことを
Your sons and your daughters
あんた達の息子や娘は
Are beyond your command
もう思い通りにできない
Your old road is
あんた達の古い道は
Rapidly agin’
急速に老朽化している
Please get out of the new one
頼むから、新らしい道から出ていってくれ
If you can’t lend your hand
できないのなら、手助けが
For the times they are a-changin’
時代、それは変わっていくのだから
5)
The line it is drawn
線、それは引かれる
The curse it is cast
呪い、それはかけられる
The slow one now
今は、遅いやつも
Will later be fast
後に、速くなるだろう
As the present now
今は、現在でも
Will later be past
後に、過去になるだろう
The order is
順序は
Rapidly fadin’ *7
急速に、進んでいく
And the first one now
そして今、一番の者が
Will later be last
後に、最下位になるだろう
For the times they are a-changin’
時代、それは変わっていくのだから
キーワード
- *1 Come gather ‘round : “come“は「さあ、おいで、来て」、”gather ‘round“は「集まれ」
- *2
- be drenched to the bone : “drench”「水浸しになる、水浸しになる」
- “to the bone “「骨の髄まで」
- *3 the wheel’s still in spin : ここでは”wheel”を「ルーレットの回転円盤」と解して「ルーレット」としました。
- *4 there’s no tellin’ : 「~について予想がつかない、何とも言えない」
- *5 heed the call : “heed”「聞き入れる」から「耳を傾ける」としました。
- *6 stall:「立ち往生する、失速する」
- *7 fadin’: 「消えていく」ですが、主語が「順序、順番」なので「進んで行く」としました。
アーティストの紹介「Bob Dylan ボブ・ディラン」
インフォメーション
- 名前:Bob Dylan(ボブ・ディラン)
- 出生名:ロバート・アレン・ジマーマン(Robert Allen Zimmerman)
- 生誕:1941/5/24-
- 出身地:アメリカ ミネソタ州ヒビング(生誕はミネソタ州ダルース)
- サマリー:
- ボブ・ディランは、アメリカのシンガーソングライターであり、20世紀の音楽シーンにおいて最も影響力のあるアーティストの一人とされている。
- 彼の音楽は、フォーク、ロック、ブルースなど多様なジャンルを融合させ、特に歌詞の文学的な深さが評価されている。
- 公式サイト:https://www.bobdylan.com/
アーティストの軌跡
ボブ・ディランは、ミネソタ大学を中退後、ミネアポリスでフォークシンガーとして活動を始め、このころから「ボブ・ディラン」と名乗るようになりました。
その後、ニューヨークにてアルバム「ボブ・ディラン」でデビューしました。
1963年に2枚目のアルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」をリリースし、「風に吹かれて」をPPMがカバーして大ヒットし、有名となりました。
彼の代表曲の「風に吹かれて」や「The Times They Are a-Changin’」などは、当時のアメリカの差別社会に対する公民権運動や反戦運動のアンセムともなりました。
フォーク界の貴公子とも呼ばれ世界中に名前が広がって行ったが、1965年リリースされた「ライク・ア・ローリング・ストーン」では、エレキギターを持ち、バックにThe Bandを従えてロックの演奏に切り替え、フォークからフォークロックへ演奏形態を変えました。
(1966年ロイヤル・アルバートホールでのライブで、観客から「ユダ(裏切者)」と言われ、それに対して音量を上げて演奏したエピソードがライブ動画に残っています。)
その後、多くの賞(2012年大統領自由勲章、グラミー賞10回以上、アカデミー賞等)を受賞し、2016年「偉大なアメリカ音楽の歴史上で、新しい詩的表現を生んだ」としてノーベル文学賞を受賞しています。
彼は賞や名誉に興味がないのか、あるいは自分の音楽が文学として認められたことに対する抵抗があったのかもしれませんが、当初受賞に無反応で授賞式も欠席しています。
いろいろ批判もあるようですが、とてもボブ・ディランらしいなと個人的には思います。
ディスコグラフィー
- スタジオ・アルバム(発売日・タイトル・USチャート最高順位)
- 1962年 ボブ・ディラン Bob Dylan
- 1963年 フリーホイーリン・ボブ・ディラン The Freewheelin’ Bob Dylan US22
- 1964年 時代は変る The Times They Are a-Changin’ US20
- 1964年 アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン Another Side of Bob Dylan US43
- 1965年 ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム Bringing It All Back Home US6
- 1965年 追憶のハイウェイ61 Highway 61 Revisited US3
- 1966年 ブロンド・オン・ブロンド Blonde on Blonde US9
- 1967年 ジョン・ウェズリー・ハーディング John Wesley Harding US2
- 1969年 ナッシュヴィル・スカイライン Nashville Skyline US3
- 1969年 セルフ・ポートレイト Self Portrait US4
- 1970年 新しい夜明け New Morning US7
- 1973年 ビリー・ザ・キッド Pat Garrett & Billy the Kid US16
- 1973年 ディラン Dylan US17
- 1974年 プラネット・ウェイヴズ Planet Waves US1
- 1974年 血の轍 Blood on the Tracks US1
- 1975年 地下室 (ザ・ベースメント・テープス) The Basement Tapes US7
- 1976年 欲望 Desire US1
- 1978年 ストリート・リーガル Street-Legal US11
- 1979年 スロー・トレイン・カミング Slow Train Coming US3
- 1980年 セイヴド Saved US24
- 1981年ショット・オブ・ラブ Shot of Love US33
- 1983年 インフィデル Infidels US20
- 1985年 エンパイア・バーレスク Empire Burlesque US33
- 1986年 ノックト・アウト・ローデッド Knocked Out Loaded US54
- 1988年 ダウン・イン・ザ・グルーヴ Down in the Groove US61
- 1989年 オー・マーシー Oh Mercy US30
- 1990年 アンダー・ザ・レッド・スカイ Under the Red Sky US38
- 1992年 グッド・アズ・アイ・ビーン・トゥ・ユー Good as I Been to You US51
- 1993年 奇妙な世界に World Gone Wrong US70
- 1997年 タイム・アウト・オブ・マインド Time Out of Mind US10
- 2001年 ラヴ・アンド・セフト Love and Theft US5
- 2006年 モダン・タイムズ Modern Times US1
- 2009年 トゥゲザー・スルー・ライフ Together Through Life US1
- 2009年 クリスマス・イン・ザ・ハート Christmas in the Heart US23
- 2012年 テンペスト Tempest US3
- 2015年 シャドウズ・イン・ザ・ナイト Shadows in the Night US7
- 2016年 フォールン・エンジェルズ Fallen Angels US7
- 2017年 トリプリケート Triplicate US37
- 2020年 ラフ&ロウディ・ウェイズ Rough and Rowdy Ways US2
- 2023年 シャドウ・キングダム Shadow Kingdom US71
- ライブ・アルバム
- 1974年 偉大なる復活 Before the Flood US3
- 1976年 激しい雨 Hard Rain US17
- 1978年 武道館 Bob Dylan at Budokan US13
- 1984年 リアル・ライブ Real Live US115
- 1989年ディラン&ザ・デッド Dylan & The Dead US37
- 1993年 30〜トリビュート・コンサート The 30th Anniversary Concert Celebration US40
- 1995年 MTVアンプラグド MTV Unplugged US23
- 2001年ボブ・ディラン・ライヴ!1961-2000 Live 1961–2000: Thirty-Nine Years of Great
- (日本のみのリリース)
- 2005年 Live at The Gaslight 1962
- 2005年 Live at Carnegie Hall 1963
- 2007年 Live Classics (a.k.a. Classics Live)
- 2011年 ボブ・ディラン・イン・コンサート: ブランダイス・ユニヴァーシティ 1963 In Concert – Brandeis University 1963 US128
- 2016年 リアル・ロイヤル・アルバート・ホール The Real Royal Albert Hall 1966 Concert US113
- 2016年 Live in Sydney 1966(オーストラリアのみのリリース)
- 2018年 ライヴ: 1962-1966〜追憶のレア・パフォーマンス Live 1962–1966: Rare Performances from the Copyright Collections
- 2019年 Bob Dylan – The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings US100
- 2023年 アナザー武道館 The Complete Budokan 1978
- 2024年 The 1974 Live Recordings
- 2024年 The 1974 Live Recordings: The Missing Songs from Before the Flood
- コンピレーション・アルバム
- 1967年 ボブ・ディランのグレーテスト・ヒット Bob Dylan’s Greatest Hits US10
- 1971年 グレーテスト・ヒット第2集 Bob Dylan’s Greatest Hits Vol. II (a.k.a. More Bob Dylan Greatest Hits) US14
- 1978年 傑作 Masterpieces
- 1994年 グレーテスト・ヒット第3集 Bob Dylan’s Greatest Hits Volume 3 US126
- 1997年 ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン The Best of Bob Dylan
- 2000年 エッセンシャル・ボブ・ディラン The Essential Bob Dylan US67
- 2000年 ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン VOL.2 The Best of Bob Dylan, Vol. 2
- 2003年 Custom Mix CD
- 2005年 ボブ・ディラン・スクラップブック 1956-1966 The Bob Dylan Scrapbook 1956-
- 2005年 The Best of Bob Dylan US53
- 2006年 Blues
- 2007年 ディラン・ザ・ベスト Dylan US36
- 2008年 ヴェリー・ベスト・オブ・ボブ・ディラン : 1960’s Playlist: The Very Best of Bob
- 2009年 ヴェリー・ベスト・オブ・ボブ・ディラン : 1970’s Playlist: The Very Best of Bob 2009年 Dylan ’70s The Collection
- 2010年 ヴェリー・ベスト・オブ・ボブ・ディラン : 1980’s Playlist: The Very Best of Bob Dylan ’80s
- 2010年 The Best of The Original Mono Recordings US97
- 2011年 All Time Best: Dylan
- 2011年 Pure Dylan: An Intimate Look at Bob Dylan
- 2011年 Beyond Here Lies Nothin’ – The Collection
- 2012年 Super Hits
- 2012年 The Real Bob Dylan
- 2013年 The Very Best of Bob Dylan
- 2013年 Side Tracks (Limited Numbered Edition)
- 2014年 Playlist: The Very Best of Bob Dylan
- 2018年 The Music Which Inspired Girl from the North Country The Original Bob Dylan Recordings
- 2019年 His Ultimate Collection
- 2020年 The Best of The Bootleg Series
- 2023年 マイ・ファースト・ディラン Mixing Up the Medicine / A Retrospective
- 2023年 50th Anniversary Collection 1973
*引用元:ボブ・ディランの作品-Wikipedia
アルバム
1963年 フリーホイーリン・ボブ・ディラン / The Freewheelin’ Bob Dylan
1964年 時代は変わる / The Time They Are a-Changin
1965年 追憶のハイウェイ61 / Highway 61 Revisited
1965年 ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム / Bringing It All Back Hom
1966年 ブロンド・オン・ブロンド / Blond on Blonde
1975年 血の轍 / Blood on the Tracks
1976年 欲望 / Desire
ライブ・アルバム
1974年 偉大なる復活 / Before the Flood
ベスト・アルバム
1967年 ボブ・ディランのグレーテスト・ヒット / Bob Dylan’s Greatest Hits
1971年 グレーテスト・ヒット第2集 / Bob Dylan’s Greatest Hits Vol. II
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