曲の紹介「Superstition 迷信」
インフォメーション
- 曲名:Superstition(迷信)
- アーティスト:Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)
- 作詞・作曲:Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)
- リリース:1972年15枚目のアルバム「Talking Book(トーキング・ブック)」に収録及びシングル・カット
- サマリー:
- 全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートでは11位の大ヒットとなった。
- 「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」2004年版では73位、2021年版では12位にランキングされている。
- 記事参照元:
- Superstition(song)-Wikipedia
- Stevie Wonder-Wikipedia
- 原詞参照元:Stevie Wonder – Superstition Lyrics
曲について
「Superstition(迷信)」は、スティーヴィー・ワンダーの代表作のひとつであり、彼の1972年のアルバム「Talking Book」に収録された楽曲です。この曲には、ロック史に残る興味深いエピソードが隠されています。
楽曲の誕生と所有権の行方
元々この曲は、スティーヴィー・ワンダーが伝説的ギタリスト、ジェフ・ベックに提供する予定でした。
当時ベックは、カーマイン・アピスとティム・ボガートと共にスーパーグループ「Beck, Bogert & Appice」を結成したばかりで、彼らの1枚目のアルバムのために「Superstition」は書かれたのです。
しかし、ベックのアルバムリリースが遅れる事態が発生。
その間に、モータウン・レコードのCEOであるベリー・ゴーディがこの曲の商業的価値を見抜き、ワンダー自身の15枚目のアルバム「Talking Book トーキング・ブック」に収録し、先にシングルカットすることを決断しました。
ワンダーのバージョンは、彼のキャリアにおける最も特徴的な楽曲の一つとなり、彼のホーナー・クラヴィネットの卓越した演奏が際立っています。
このバージョンはビルボードのホット100とR&Bチャートの両方で1位を獲得する大ヒットとなりました。
和解の証としての贈り物
一方、ベックのバージョンは1973年2月に デビューアルバム「Beck, Bogert & Appice」に収録され、リリースされました。
しかし、ワンダーのバージョンがすでに大ヒットしていたため、ベックのバージョンは商業的に影を潜めることになりました。
この経緯に対する謝罪の意味を込めて、ワンダーはベックに別の楽曲「Cause We’ve Ended As Lovers(哀しみの恋人たち)」を提供しました。
この曲は1975年にリリースされたベックの1枚目のソロアルバム「Blow by Blow ブロウ・バイ・ブロウ」に収録され、ベックの代表的なインストゥルメンタル楽曲となりました。
歌詞に込められたメッセージ
「Superstition」の歌詞は、西洋の迷信を題材にしています。「鏡を割ると7年間の災難に襲われる」「はしごの下を歩くと不運になる」といった迷信を例に挙げ、人々がそうした非科学的な信念に囚われることへの警告が込められています。
ワンダーは、この曲を通じて「迷信など信じるのは馬鹿げている。人生には辛いことや悲しいことがあるのは当然のこと。だから迷信に頼るのではなく、前向きに進んでいこう」というメッセージを伝えています。
「Superstition」は、スティーヴィー・ワンダーの全盛期の始まりを告げる代表作となり、彼のクラヴィネットの使用法は、この曲において最も特徴的で有名な例として音楽史に刻まれています。
曲の動画
以下の動画をアップしています。
- Superstition by Stevie Wonder公式アーティストチャンネル
- Superstition by Beck, Bogart, Appice – topic
- 2023年1月10日に病気で亡くなったジェフ・ベックのグループ ベック・ボガード&アピスのカバー
- Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – Superstition (Video) by Stevie Ray Vaughan topic
- 1990年8月27日のヘリコプターでの事故で無くなったスティーヴィー・レイ・ヴォーンのカバー
歌詞の和訳「Superstition 迷信」
(原詞:太文字)
Superstition
Very superstitious *1
まさに迷信
Writing’s on the wall
壁に書かれた文字
Very superstitious
まさに迷信
Ladder’s ‘bout to fall *2
ハシゴが落ちてくる
Thirteen month old baby *3
13ヶ月の赤ちゃんが
Broke the looking glass *3
鏡を割った
Seven years of bad luck *4
不運の7年間
The good things in your past
過去の良い出来事
When you believe in things
それらを信じると
That you don’t understand
自分が理解できないものを
Then you suffer
苦しむことになる
Superstition ain’t the way, yeah
迷信は選ぶ道じゃない、そう
2)
Ooh, very superstitious
ああ、まさに迷信
Wash your face and hands
顔や手を洗え
Rid me of the problem
禍を取り除いてくれ
Do all that you can
できることは全部しろ
Keep me in a daydream
白昼夢を見続けさせてくれ
Keep me going strong *5
強くあり続けさせてくれ
You don’t want to save me *6
だれも僕を救いたくない
Sad is my song
悲しみが僕の歌
When you believe in things
それらを信じると
That you don’t understand
自分が理解できないものを
Then you suffer
苦しむことになる
Superstition ain’t the way, yeah
迷信は選ぶ道じゃない
3)
Very superstitious
まさに迷信
Nothing more to say
もう何も言うことはない
Very superstitious
まさに迷信
The devil’s on his way
悪魔がやってくる
Thirteen month old baby
13ヶ月の赤ちゃんが
Broke the looking glass
鏡を割った
Seven years of bad luck
不運の7年間
Good things in your past
過去の良い出来事
When you believe in things
それらを信じると
That you don’t understand
自分が理解できないものを
Then you suffer
苦しむことになる
Superstition ain’t the way
迷信は選ぶ道じゃない
No, no, no
ノー、ノー、ノー
キーワード
- *1 superstitious:”superstition”の形容詞で「迷信深い」、”very superstitious”は直訳すると「とても迷信深い」ですが、文脈から否定的な意味で「まさに迷信」としました。
- *2 Ladder’s ‘bout to fall:西洋の迷信「ハシゴの下を歩くな」を比喩していると思われます。
- *3 Thirteen month old baby Broke the looking glass : 西洋の迷信「鏡が割れると7年間不幸が起こる」と不吉とされる数字「13」を、霊が憑りついたかのような「赤ちゃん」と組合したと思われます。
- *4 Seven years of bad luck: 西洋の迷信で、前文の鏡と組合して「鏡が割れると7年間不幸が起こる」から比喩していると思われます。
- *5 Keep me going:慣用句で「~を継続、存続させる」から、「あり続けさせる」としました。
- *6 You don’t want to save me:”You”は「あなた」ですが、文脈から「だれも僕を救いたくない」としました。
アーティストの紹介「Stevie Wonder スティーヴィー・ワンダー」
インフォメーション
- 名前:Stevie Wonder スティーヴィー・ワンダー
- 出生名:Stevland Hardaway Morris ステヴランド・ハーダウェイ・モリス
- 生誕:1950年5月13日
- 出身地:アメリカ、ミシガン州サギノー
- サマリー:スティーヴィー・ワンダーは、アメリカのシンガーソングライター、ミュージシャン、そしてプロデューサー
スティーヴィー・ワンダーは、20世紀で最も影響力のある音楽家の一人として広く認められています。彼は、生後間もなく視力を失いましたが、その障壁を乗り越え、革新的な音楽キャリアを築きました。
音楽革新者としての功績
1970年代、ワンダーはシンセサイザーや他の電子楽器を巧みに使いこなし、コンテンポラリーR&Bの概念を根本から変革しました。
彼は文字通り「ワンマン・バンド」として、R&B、ポップ、ソウル、ゴスペル、ファンク、ジャズなど多様なジャンルに影響を与え、先駆者として称えられています。
1972年に発表したアルバム「Talking Book」に収録された「Superstition」は、世界中で大ヒットしました。同曲は、ホーナー・クラヴィネットの最も特徴的で有名な使用例として知られています。
その後、「Innervisions」(1973年)、「Fulfillingness’ First Finale」(1974年)、「Songs in the Key of Life」(1976年)と、立て続けにグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞し、3回連続で同賞を獲得した初めてのアーティストとなりました。
社会活動家としての取り組み
音楽活動だけでなく、社会的な問題にも積極的に関わり、メッセージ性の強い楽曲や活動でも知られています。「Happy Birthday」(1980年)は、キング(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)牧師の誕生日を祝日にする運動を成功させ、「キング牧師記念日 / Martin Luther King Jr. Day」の制定に貢献しました。
1985年には、アフリカ飢饉救済のためのオールスター・チャリティ・シングル「We Are the World」に参加し、また米国エイズ研究財団のためのチャリティ・シングル「That’s What Friends Are For」にも参加しました。
その功績が認められ、リズム・アンド・ブルース音楽の殿堂、ロック・アンド・ロール音楽の殿堂、ソングライターズの殿堂入りも果たしています。2009年には国連平和大使に任命され、バラク・オバマ大統領から国民芸術勲章を授与されました。
受賞歴と功績
スティーヴィー・ワンダーは歴代上最も成功した音楽アーティストの一人で、世界中で多くのレコードを売り上げています。
彼は、計22部門でグラミー賞を受賞し、最も受賞回数の多い男性ソロ・シンガーです。
さらに、リズム・アンド・ブルース音楽の殿堂、ロックンロール殿堂、ソングライターズ殿堂にも殿堂入りを果たしており、その音楽的影響力は世代を超えて今なお続いています。
スティーヴィー・ワンダーは、革新的な音楽性と社会変革への強い信念を通じて、単なる音楽家を超えた存在として、世界中から愛され尊敬され続けています。
アルバムの紹介
代表曲:
- 1972年 SUPERSTITION 迷信
- 1972年 Talking Book /トーキング・ブック
- 1976年 SIR DUKE 愛するデューク
- 1976年 ISN’T SHE LOVELY 可愛いアイシャ
- 1980年 Happy Birthday ハッピー・バースデイ
- 1981年 Lately
- 1984年 I JUST CALLED TO SAY I LOVE YOU
- 1985年 PART-TIME LOVER パートタイム・ラヴァー
- 1986年 Overjoyed オーヴァージョイド
1972年 Innervisions /インナーヴィジョンズ
1974年 Fulfillingness’ First Finale /ファースト・フィナーレ
1976年 Songs in the Key of Life /キー・オブ・ライフ
2002年 Definitive Collection /ベスト・コレクション