映画の紹介「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」
インフォメーション
- タイトル:名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN
- 監督:ジェームズ・マンゴールド James Mangold
- 脚本:
- ジェームズ・マンゴールド James Mangold
- ジェイ・コックス Jay Cocks
- 原作:イライジャ・ウォルド Elijah Wald「Dylan Goes Electric!」より
- 主なキャスト:
- ボブ・ディラン ティモシー・シャラメTimothée Chalamet
- ピート・シーガーエドワード・ノートン Edward Norton
- シルヴィ・ルッソエル・ファニング Elle Fanning
- ※ディランの当時の恋人だったスーズ・ロトロにインスパイアされたキャラクター。
- ジョーン・バエズモニカ・バルバロ Monica Barbaro
- ジョニー・キャッシュボイド・ホルブルック Boyd Holbrook
- ウディ・ガスリースクート・マクネイリーScoot McNairy
- 制作:2024年アメリカ
- 配給会社:サーチライト・ピクチャーズ
- 公開:
- アメリカ2024年12月25日
- 日本2025年2月28日
- 公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/acompleteunknown
- サマリー:1960年代初頭、ニューヨークの音楽シーンを舞台に、若き日のボブ・ディランを描いた伝記映画。
- 記事参照:A Complete Unknown-Wikipedia
映画の動画
以下の動画をアップしています
- A COMPLETE UNKNOWN | Official Trailer | Searchlight Pictures by SearchlightPictures
- A COMPLETE UNKNOWN | Final Trailer | Searchlight Pictures by SearchlightPictures
映画について
ストーリー
1961年、ボブ・ディランは憧れのウディ・ガスリーに会うためニューヨークへ。
病院でガスリーとフォーク仲間のピート・シーガーに出会ったディランは、自作の歌を披露し、ピートの紹介でフォークシーンに足を踏み入れます。
ジョーン・バエズの公演後、ディランは才能を認められ、マネージャーのアルバート・グロスマンと契約。
オリジナル曲を録音したいディランでしたが、レコード会社の方針でカバー曲中心のアルバム制作を余儀なくされ、売り上げも伸び悩みます。
そんな中、ディランはシルヴィ・ルッソと出会い恋に落ちます。シルヴィはディランの音楽活動を応援し、ディランは社会情勢を反映した歌で注目を集めていきます。
しかし、ジョーン・バエズとの関係も深めていきます。
スターとなったディランは、音楽業界やフォーク界の期待に縛られていることに苦悩し、バエズとのツアーも決裂。
1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでエレキギターを演奏したディランは、観客から激しいブーイングを浴びます。それでも彼は自身の音楽を貫き、シルヴィとの別れを経て、新たな音楽の道を歩み始めます。
レビューと考察
「名もなき者|A COMPLETE UNKNOWN」は無名だったボブ・ディランが、アメリカフォークソング界の寵児となり、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでのロック演奏で、新しい進路へ向かうまでを描いています。
映画の中では、「A conplete unknown まったくの無名」というタイトルのようなディランが、次第に人気が出てスターの道を歩んでいく姿を追っています。
しかし、お金や名声を得ると引き換えに、当時の音楽シーンの古い束縛にとらわれ、自由を失って苦悩するディランの姿も浮かび上がってきます。
ディラン役のティモシー・シャラメは、若き日のディランの才能と葛藤、そして演奏を含めて見事に演じており、ピート・シーガー役のエドワード・ノートン、恋人シルヴィ・ルッソ役のジョーン・バエズ役のエル・ファニング、モニカ・バルバロなど、共演者たちの演技もまさに素晴らしい演技を見せてくれます。
この恋人のシルヴィ・ルッソの実名は「スーズ・ロトロ」といい、初期の多くの楽曲のインスピレーションになった人物と言われています。
ディランの2枚目のアルバム「The Freewheelin’ Bob Dylanフリー・ホイーリン ボブ・ディラン)」のジャケットの表紙でディランと手を組んで歩いています。
映画に出てくる60年代のディランの楽曲は、ほとんどが初期のフォーク時代のものですが、今聴くと逆に新鮮で新しいと感じました。
ジェームズ・マンゴールド監督は、1960年代の音楽シーンをリアルに再現し、ディランの音楽と時代背景を巧みに融合させています。
1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルでのエレクトリック・パフォーマンスのシーンは圧巻です。
このシーンは、「フォークの貴公子」という大きなレッテルを自らはがし、ロックを使って新しい道へ進むことを宣言するような演奏をします。
古いフォークソングを望む聴衆から「ユダ(裏切者)」と言われ、ディランは「お前は噓つき」と返し、バンドに大きな音を要求して、「Like a Rolling Stone ライク・ア・ローリング・ストーン」が始まります。
まるで、「これが今の俺の音楽だ」と言わんばかりで、彼の音楽に対する姿勢を象徴しているかのようなシーンです。
これと似たシーンは、1966年ロイヤル・アルバート・ホールでも起きていて、この様子は動画にアップされています。
Bob Dylan – Like a Rolling Stones Judas by Duke Bill
映画は、ディランの音楽と人間性をうまく重ねて表現しています。
個人的に彼の性格は、2枚目のアルバムのタイトル「The Freewheelin’(自由奔放)」のような人で、何を考えているのかわからないところがあると思いますが、そんなテイストもストレートに表現されていると思います。
この「名もなき者|A COMPLETE UNKNOWN」は、もちろんドキュメンタリーではないので、創作されている部分はあります。
しかし映画を通じて触れられるディランの楽曲と、彼が名もなき時から歩んできた姿をとおして、今まで知らなかったディランに逢えた気がします。そして、ディランの楽曲の素晴らしさを再認識しました。
映画の楽曲(サウンド・トラック)
- 1.Highway 61 Revisited – Timothee Chalamet
- 追憶のハイウェイ61 (ティモシー・シャラメ)
- 2.Mr. Tambourine Man – Timothee Chalamet
- ミスター・タンブリン・マン(ティモシー・シャラメ)
- 3.I Was Young When I Left Home – Timothee Chalamet
- アイ・ワズ・ヤング・ホエン・アイ・レフト・ホーム (ティモシー・シャラメ)
- 4.Girl From The North Country – Timothee Chalamet, Monica Barbaro
- 北国の少女(ティモシー・シャラメ&モニカ・バルバロ)
- 5.Silver Dagger – Monica Barbaro
- 銀の剣(モニカ・バルバロ)
- 6.A Hard Rain’s A Gonna Fall – Timothee Chalamet
- はげしい雨が降る (ティモシー・シャラメ)
- 7.Wimoweh – Ed Norton
- ウィモエ(エドワード・ノートン)
- 8.House Of The Rising Sun – Monica Barbaro
- 朝日のあたる家 (モニカ・バルバロ)
- 9.Folsom Prison Blues – BoydHolbrook
- フォルサム・プリズン・ブルース(ボイド・ホルブルック)
- 10.Don’t Think Twice, It’s Alright – Timothee Chalamet, Monica Barbaro
- くよくよするなよ(ティモシー・シャラメ、モニカ・バルバロ)
- 11.Masters Of War – Timothee Chalamet
- 戦争の親玉(ティモシー・シャラメ)
- 12.Blowin’ In The Wind – Timothee Chalamet, Monica Barbaro
- 風に吹かれて(ティモシー・シャラメ、モニカ・バルバロ)
- 13.Subterranean Homesick Blues – Timothee Chalamet
- サブタレニアン・ホームシック・ブルース (ティモシー・シャラメ)
- 14.Big River – Boyd Holbrook
- ビッグ・リヴァー(ボイド・ホルブルック)
- 15.The Times They Are A-Changin – Timothee Chalamet
- 時代は変る(ティモシー・シャラメ)
- 16.When The Ship Come In – Timothee Chalamet, Ed Norton
- 船が入ってくるとき(ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン)
- 17.There But For The Fortune – Monica Barbaro
- ゼア・バット・フォー・ザ・フォーチュン(モニカ・バルバロ)
- 18.It Ain’t Me Babe – Timothee Chalamet, Monica Barbaro
- 悲しきベイブ(ティモシー・シャラメ、モニカ・バルバロ)
- 19.Maggie’s Farm – Newport ’65 version – Timothee Chalamet
- マギーズ・ファームーニューポート’65ヴァージョン(ティモシー・シャラメ)
- 20.It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry – Timothee Chalamet
- 悲しみは果てしなく(ティモシー・シャラメ)
- 21.Like A Rolling Stone – Newport ’65 version – Timothee Chalamet
- ライク・ア・ローリング・ストーン(ティモシー・シャラメ)
- 22.It’s All Over Now, Baby Blue – Timothee Chalamet
- イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー(ティモシー・シャラメ)
- 23.Song To Woody – Timothee Chalamet
- ウディに捧げる歌(ティモシー・シャラメ)