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Strange Fruit 奇妙な果実|Billie Holiday ビリー・ホリデイ

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目次

曲の紹介|Strange Fruit 奇妙な果実

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インフォメーション

  • 曲名:Strange Fruit 奇妙な果実
  • アーティスト:Billie Holiday ビリー・ホリデイ
  • 作詞・作曲:Abel Meeropol(エイベル・ミーアポル)(ペンネーム:Lewis Allan ルイス・アレン)
  • リリース:1939年4月20日、Commodore Recordsからシングルとしてリリース
  • サマリー:
    • 人種差別に抗議する曲として、ビリー・ホリデイの代表作となった。アトランティック・レコード共同創設者のアーメット・エルテギュンにより「宣戦布告」「公民権運動の始まり」と評された。
    • 1978年にグラミー殿堂入り、2002年には「文化的、歴史的、または美学的に重要」として米国議会図書館により全米録音資料登録簿に選定された。
    • ローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・ソング500」(2021年版)では21位にランクインするなど、時代を超えて高い評価を受けている。
  • 記事参照元:
    • Strange Fruit- Wikipedia
    • Billie Holiday- Wikipedia
  • 歌詞参照元: Billie Holiday – Strange Fruit – Genius

曲について

「奇妙な果実」は、1939年にコモドア・レコードからリリースされたビリー・ホリデイの最も影響力がある代表曲です。

「Strange Fruit」は南部で行われていた黒人に対するリンチを告発する強烈な抗議歌で、リンチにあって木に吊るされた黒人の死体を「奇妙な果実」と表現しています。

この曲は静かで陰鬱な導入部で始まり、ホリデイの感情的で強烈なボーカルによって展開していきます。
曲の内容は、アメリカ南部での黒人に対する暴力と人種差別の現実を直視させるものです。

「南部の木には、変わった実がなる」という歌い出しに始まり、木に吊るされた黒人の死体が腐敗していく情景を詩的かつ衝撃的に描写しています。

ホリデイがこの曲を歌うとき、特別な演出が施されました。
カフェ・ソサエティでは、彼女が歌い始めると会場の照明が消され、彼女の顔だけを照らすピンスポットライトだけが残り、曲が終わると完全に消灯されるという演出がなされました。

「奇妙な果実」は単なる歌ではなく、アメリカ社会の暗部を暴露し、変革を促す政治的宣言でした。

特にこの曲は、自身も人種差別の犠牲となった父親を亡くしたホリデイにとって、個人的にも重要な意味を持つ曲でした。彼女は「この曲は父の死を思い出させるが、彼が死んでから20年経った今も同じことが南部で起きているから、歌い続けなければならない」と語っています。

レコーディングには、コモドア・レコードの創設者ミルト・ゲイブラーが関わり、フランキー・ニュートンのカフェ・ソサエティ・バンドが演奏を担当しました。

「奇妙な果実」は、ニーナ・シモン、ジェフ・バックリィ、スージー・アンド・ザ・バンシーズ、UB40など、多くのアーティストによってカバーされています。

「奇妙な果実」は、人種差別に対する抗議の象徴として今日も多くの人々の心に強い印象を残し続けています。
人の人権や命が次第に軽んじられてきている現代において、もう一度聴き直したい名曲だと思います。

曲の動画

以下の動画をリンク|アップしています。

Annie Lennox - Strange Fruit (Live)
Andra Day - Strange Fruit [Official Music Video]
Beth & Joe - Strange Fruit OFFICIAL Music Video

歌詞の和訳|Strange Fruit 奇妙な果実

(原詞:太文字)

Strange Fruit

Southern trees bear a strange fruit
南部の木には奇妙な果実がなる
Blood on the leaves and blood at the root

葉には血、そして根本まで血
Black bodies swinging in the Southern breeze

南部の風に揺れる黒い肉体
Strange fruit hanging from the poplar trees

ポプラの木にぶら下がる奇妙な果実

2)
Pastoral scene of the gallant south *1
優雅な南の田園風景
The bulging eyes and the twisted mouth *2
飛び出た目に歪んだ口
Scent of magnolias, sweet and fresh
*3
マグノリアの香りが、甘く爽やかに
Then the sudden smell of burning flesh

すると突然に焼ける肉の匂い

3)
Here is a fruit for the crows to pluck
カラスがついばむ果実がある
For the rain to gather, for the wind to suck
*4
雨にさらされ、風が蝕む 
For the sun to rot, for the tree to drop

太陽が腐らせ、木が落とす
Here is a strange and bitter crop

奇妙で苦しみの実りがある

キーワード

  • *1 Pastoral scene :”pastoral”は「牧歌的」なので、「田園風景」としました。
  • *2 bulging eyes : “bulging”は「膨らんでいる」なので、「飛び出た目」としました。
  • *3 magnolias : モクレン科植物
  • *4 the rain to gather :直訳では「集める雨」ですが、文脈から「雨にさらされ」としました。

アーティストの紹介|Billie Holiday ビリー・ホリデイ

Billie Holiday 画像
Billy Joel-Wikipedia(CCO)

インフォメーション

  • 名前:Billie Holiday(ビリー・ホリデイ)
  • 本名:Eleanora Fagan(エレアノーラ・フェイガン)
  • 生誕:1915年4月7日
  • 死去:1959年7月17日(44歳)
  • 出身地:アメリカ、ペンシルバニア州フィラデルフィア
  • サマリー:
    • ビリー・ホリデイは、1915年4月7日にフィラデルフィアで生まれたアメリカのジャズおよびスウィング歌手。
    • 彼女は友人兼音楽パートナーのレスター・ヤングによって「レディ・デイ」というニックネームで呼ばれ親しまれていた。
    • ホリデイはジャズ音楽とポップ歌唱に重要な貢献をし、彼女の歌唱スタイルはジャズ器楽奏者に強く影響された独特のフレージングとテンポの扱い方で知られている。

アーティストの軌跡

ビリー・ホリデイは、アメリカを代表するジャズ歌手であり、20世紀の音楽史に大きな足跡を残したアーティストです。「レディ・デイ」の愛称で親しまれる彼女は、1930年代から1950年代にかけて音楽界の第一線で活躍しました。

困難な幼少期を送ったホリデイは、10代の頃からハーレムのナイトクラブで歌い始めました。正式な音楽教育は受けていませんでしたが、ルイ・アームストロングやベッシー・スミスの影響を受け、楽器のような表現力豊かな歌唱スタイルを確立していきました。

1933年にプロデューサーのジョン・ハモンドに見出され、1935年にはブランズウィック・レコードと契約。ピアニストのテディ・ウィルソンとの共演で「What a Little Moonlight Can Do」などのヒット曲を生み出し、一躍脚光を浴びました。この曲は彼女の「名声の礎」となり、後にジャズ・スタンダードとなっています。

1937年から1938年にかけては、カウント・ベイシー楽団のボーカリストとして活躍。その後、アーティ・ショウ楽団に参加し、白人オーケストラと共に活動した初期の黒人女性歌手の一人となりました。しかし、当時の人種差別により多くの困難に直面しています。

1939年、彼女のキャリアにおける転機となる「Strange Fruit」(奇妙な果実)を録音しました。アメリカの人種差別を告発するこの曲は、当時のメジャーレーベルが録音を拒否したため、インディーズレーベル「コモドア」からリリースされました。この曲は大きな反響を呼び、ホリデイの名声を確立するとともに、「公民権運動の始まり」とも評される社会的影響を与えました。

ホリデイの楽曲は、時に自身の苦難や社会問題を反映したものが多く、聴く人の心に深く響くメッセージを持っています。彼女は音楽を通して人種差別に立ち向かい、社会に問いかける姿勢も示しました。

1940年代後半から1950年代にかけては、法的問題や薬物乱用に悩まされながらも、カーネギーホールでの完売公演を含め多くの成功を収めました。1958年には最後のアルバム「Lady in Satin」をリリースしましたが、翌年の1959年7月17日、44歳で肝硬変による合併症で亡くなりました。

死後、彼女の評価はさらに高まり、4つのグラミー賞を受賞。グラミー殿堂入り、ナショナル・リズム&ブルース殿堂入り、2000年にはロックンロール殿堂入りを果たしました。また、ローリングストーン誌の「史上最高の歌手200人」では4位にランクインしています。

ビリー・ホリデイは、その独特の歌唱スタイルとジャズへの貢献により、フランク・シナトラを含む多くのアーティストに影響を与えました。

シナトラは彼女を「アメリカのポピュラー歌唱における最も重要な影響」と評しています。

彼女の音楽と人生は映画「レディ・シングス・ザ・ブルース」(1972)や「ザ・ユナイテッド・ステイツ vs ビリー・ホリデイ」(2021)などでも描かれ、その遺産は今日も色あせることなく、世代を超えて人々の心に深く響き続けています。

ディスコグラフィ

代表曲

  • 代表曲
    • 1933年 Your Mother’s Son-In-Law
    • 1933年 Riffin’ the Scotch
    • 1935年 What a Little Moonlight Can Do
    • 1936年 Billie’s Blues (I Love My Man)
    • 1937年 Easy Living
    • 1939年 Strange Fruit
    • 1939年 Fine and Mellow
    • 1941年 God Bless the Child
    • 1944年 Don’t Explain
    • 1945年 Lover Man (Oh Where Can You Be?)
    • 1946年 Good Morning Heartache
    • 1949年 Crazy He Calls Me
  • ジャズスタンダード
    • I’ll Be Seeing You
    • All of Me
    • Blue Moon
    • Solitude
    • Body and Soul
    • Them There Eyes
    • Summertime
  •  特筆すべき作品
    • 「Strange Fruit」(1939年) – 反リンチを歌った抗議歌として、Rolling Stone誌「史上最高の楽曲500選」21位にランクイン
    • 「Lady in Satin」(1958年) – 最後のスタジオアルバムとして、レイ・エリス・オーケストラとの共演で録音された代表作
    • 「God Bless the Child」 – 多くの専門家が彼女の最高作品の一つと評価

代表アルバム

  • スタジオアルバム
    • 1952年 Billie Holiday Sings
    • 1953年 An Evening with Billie Holiday
    • 1954年 Billie Holiday
    • 1955年 Music for Torching
    • 1956年 Velvet Mood
    • 1956年 Lady Sings the Blues
    • 1957年 Body and Soul
    • 1957年 Songs for Distingué Lovers
    • 1958年 Stay with Me
    • 1958年 All or Nothing at All
    • 1958年 Lady in Satin
  • ライブアルバム
    • 1954年 Billie Holiday at Jazz at the Philharmonic
    • 1957年 Ella Fitzgerald and Billie Holiday at Newport
    • 1961年 The Essential Billie Holiday: Carnegie Hall Concert Recorded Live

*引用元:Wikipedia: Billie Holiday discography

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