映画の紹介「ボブ・マーリー:ONE LOVE」

インフォメーション
- タイトル:ボブ・マーリー:ONE LOVE(原題:Bob Marley: One Love)
- 監督:レイナルド・マーカス・グリーン Reinaldo Marcus Green
- 脚本:
- テレンス・ウィンター Terence Winter
- フランク・E・フラワーズ Frank E. Flowers
- ザック・ベイリン Zach Baylin
- レイナルド・マーカス・グリーン Reinaldo Marcus Green
- 主なキャスト:
- ボブ・マーリー → キングズリー・ベン=アディル Kingsley Ben-Adir
- リタ・マーリー → ラシャーナ・リンチ Lashana Lynch
- クリス・ブラックウェル → ジェームズ・ノートン James Norton
- ドン・テイラー → アンソニー・ウェルシュ Anthony Welsh
- タイロン・ダウニー → トシン・コール Tosin Cole
- ハワード・ブルーム → マイケル・ガンドルフィーニ Michael Gandolfini
- 製作総指揮:ブラッド・ピット
- ※ボブ・マーリーの妻リタ・マーリー、息子ジギー・マーリー、娘セデラ・マーリーが製作として参加。
- 制作:2024年アメリカ
- 配給会社:パラマウント映画(アメリカ)/東宝東和(日本)
- 公開:
- アメリカ 2024年2月14日
- 日本 2024年5月17日
- 配給元公式サイト:https://paramount.jp/bobmarley-onelove/
- サマリー:1970年代のジャマイカ〜イギリスを舞台に、レゲエの伝説ボブ・マーリーの激動の2年間を描いた伝記映画。
- 記事参照:Bob Marley: One Love – Wikipedia
映画の動画
以下の動画をアップしています
- BOB MARLEY: ONE LOVE | Official Trailer (2024 Movie) by Paramount Pictures(ページトップ)
- Bob Marley: One Love – Teaser Trailer (2024 Movie) by Paramount Pictures
映画について
ストーリー
1976年、ジャマイカ。選挙をめぐる政治的暴力が激化するキングストンで、ボブ・マーリーはピースコンサート「スマイル・ジャマイカ」を企画します。
コンサートの2日前、マーリーの自宅に武装した男たちが押し入り、ボブ、妻のリタ・マーリー、マネージャーのドン・テイラーを銃撃。三人とも一命をとりとめますが、ジャマイカは騒乱の渦中にありました。
傷を負ったまま2日後のステージに立ったマーリーは、「なぜここに立つのか?」と問う観衆に、音楽で答えます。
暗殺未遂事件の後、マーリーはジャマイカを離れ、イギリスへ。ロンドンに拠点を移したマーリーは、バンド「ザ・ウェイラーズ」とともに制作に没頭し、最大の傑作となるアルバム「Exodus(エクソダス)」を完成させます。
故郷と家族から離れた異国での日々の中で、妻リタとの絆、ラスタファリズムへの信仰、そして「愛と平和」というメッセージへの揺るぎない確信が、マーリーの音楽をより深いものにしていきました。
1978年、マーリーはジャマイカの対立する政治勢力を和解させるべく、ワン・ラヴ・ピース・コンサートに帰還。ステージ上で、対立する二大政党の党首の手を取り、ひとつに結んだ伝説のシーンが生まれます。
レビューと考察
「ボブ・マーリー:ONE LOVE」は、マーリーの生涯全体を網羅した作品ではありません。1976年の暗殺未遂からイギリス亡命、そして1978年のワン・ラヴ・ピース・コンサートへの帰還という、約2年間の激動の時代にフォーカスした映画です。
この選択が、作品に独特の緊張感を与えています。ステージに立つ英雄としての顔だけでなく、脅迫に怯え、故郷を追われ、それでも音楽に向かい続けた一人の人間としてのマーリーが浮かび上がります。
マーリーを演じたキングズリー・ベン=アディルの存在感は圧倒的です。声、身のこなし、ギターを抱えたときの佇まいなど~どれをとっても「マーリーがそこにいる」と思わせる説得力があります。歌唱シーンでは実際のアーカイブ音源とブレンドされていますが、そのつなぎ目を意識させないほど役への没入が徹底されています。
リタ・マーリー役のラシャーナ・リンチも、この映画の軸を担う存在です。銃撃を受けながらもステージに向かう夫を支えるリタの強さ、そして夫婦の間に横たわる複雑な感情~リンチはその一つひとつを丁寧に演じ切り、単なる「伝説の妻」ではなく、対等な魂の持ち主として描き出しています。
映画のなかで特に胸を打つのが、1976年「スマイル・ジャマイカ」コンサートのシーンです。
銃弾を受けた2日後、傷ついた体でステージに立ったマーリーは「俺の音楽を止めることはできない」と言わんばかりに演奏を続けます。これは単なる「勇敢さ」の描写ではなく、ラスタファリズムの精神と、マーリーが生涯を通じて体現しようとした「音楽は武器より強い」という信念の表れです。
1978年のワン・ラヴ・ピース・コンサートのクライマックスも見逃せません。敵対する二大政党の党首の手を取り、ひとつにつないだ瞬間のシーンは、「これが本当にあったのか」と思うほどの迫力で描かれています。
本作の製作にはマーリーの妻リタ、息子ジギー、娘セデラが深く関わっており、家族が守り続けてきたボブ・マーリーの人間像が作品に宿っています。美化しすぎず、弱さや葛藤も隠さずに描いているのは、家族だからこそできた誠実さでしょう。
ただ、「ONE LOVE」というタイトルが示す「愛と平和のメッセージ」に重きを置くあまり、マーリーの内面の矛盾や暗部が少し整理されすぎている印象もあります。伝記映画としての「聖人化」の傾向は否めませんが、それを差し引いても、マーリーの音楽の力と彼が生きた時代の重さは十分に伝わってきます。
映画を通じて流れるボブ・マーリーの楽曲は、「Get Up, Stand Up」「Redemption Song」「Exodus」「No Woman, No Cry」など、今なお世界中で歌い継がれる名曲ばかりです。知っている曲が映像と重なった瞬間、改めてその歌詞の深さに気づかされます。
レゲエに詳しくない方でも、この映画はボブ・マーリーという人物を知る入口として十分すぎるほどの力を持っています。
映画の楽曲(サウンド・トラック)
- 1. Get Up, Stand Up – The Wailers
- ゲット・アップ、スタンド・アップ(ザ・ウェイラーズ)
- 2. Roots, Rock, Reggae – Bob Marley and the Wailers
- ルーツ、ロック、レゲエ(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 3. I Shot the Sheriff – The Wailers
- アイ・ショット・ザ・シェリフ(ザ・ウェイラーズ)
- 4. No More Trouble – Bob Marley and the Wailers
- ノー・モア・トラブル(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 5. War / No More Trouble – Bob Marley and the Wailers
- ウォー/ノー・モア・トラブル(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 6. So Jah S’eh – Bob Marley and the Wailers
- ソー・ジャー・ゼ(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 7. Natural Mystic – Bob Marley and the Wailers
- ナチュラル・ミスティック(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 8. Turn Your Lights Down Low – Bob Marley and the Wailers
- ターン・ユア・ライツ・ダウン・ロウ(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 9. Exodus – Bob Marley and the Wailers
- エクソダス(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 10. Jamming – Bob Marley and the Wailers
- ジャミング(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 11. Concrete Jungle – Bob Marley and the Wailers
- コンクリート・ジャングル(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 12. No Woman, No Cry (Live at the Rainbow Theatre, London, 1977) – Bob Marley and the Wailers
- ノー・ウーマン、ノー・クライ(ライヴ/ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 13. Three Little Birds – Bob Marley and the Wailers
- スリー・リトル・バーズ(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 14. Redemption Song – Bob Marley and the Wailers
- リデンプション・ソング(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 15. One Love / People Get Ready – Bob Marley and the Wailers
- ワン・ラヴ/ピープル・ゲット・レディ(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 16. Is This Love – Bob Marley and the Wailers
- イズ・ジス・ラヴ(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)
- 17. Rastaman Chant – The Wailers
- ラスタマン・チャント(ザ・ウェイラーズ)
