曲の紹介「Money マネー」
インフォメーション
- 曲名:Money(マネー)
- アーティスト:Pink Floyd(ピンク・フロイド)
- 作詞・作曲:Roger Waters(ロジャー・ウォーターズ)
- リリース:1973年6月 アルバム「狂気 / The Dark Side of the Moon」に収録、シングルカットリリース
- サマリー:
- アメリカでのバンド初のヒットとなり、全米ビルボードホット100で第13位を記録した。
- アルバム「狂気(The Dark Side of the Moon)」は5,000万枚以上を記録し、世界で最も売れたアルバムの一つとなり、ピンク・フロイドの代表作の一つとなった。
- 記事参照元:
- Money(Pink Floyd song)-Wikipedia
- Pink Floyd-Wikipedia
- 歌詞引用元:Pink Floyd – Money Lyrics
曲について
「Money」は、物質主義や拝金主義を批判するメッセージと、革新的な音楽性が融合した、ピンク・フロイドを代表する一曲です。
「Money」の最大の特徴は、7/4拍子という変拍子を取り入れたリズム構成です。冒頭から響き渡るレジの音やコインの音といったお金にまつわる効果音をループさせ、パーカッションのように使用することで、独特のリズムを生み出しています。この効果音のループを含めたデモテープは、ロジャー・ウォーターズが自宅の庭の小屋で録音しました。そのデモテープを基に、ピンクフロイドがアビー・ロード・スタジオでレコーディングしました。
曲の構成は、12小節のブルースを基調としていますが、サックスソロやギターソロのパートでは拍子を変化させるなど、複雑な構成となっています。レコーディングも、曲のアウトロに録音スタッフのボイスが入っていますが、凝った録音を行ったイメージを抱かせます。
ロジャー・ウォーターズによって書かれた歌詞は、お金に対する皮肉と資本主義、拝金主義への批判に満ちています。「お金は諸悪の根源だと言うけれど、昇給を求めても何ももらえない」といった歌詞は、資本主義社会におけるお金の力と、それによって生じる矛盾や葛藤を鋭く風刺しています。
ウォーターズ自身も、「お金は私にとって非常に興味深いものだった」と語っており、社会主義者としての理想と、物質的な欲望との間で葛藤していたことを告白しています。この葛藤が、聴く者の心に深く突き刺さる、リアリティのある歌詞を生み出したと言えます。
「Money」は、全米シングルチャートで13位、キャッシュボックス誌のチャートで10位を記録するなど、アメリカではじめて商業的な成功を収めました。この曲の成功は、ピンク・フロイドを、世界的なスターダムへと押し上げるきっかけとなりました。
2023年、アルバム「狂気 / The Dark Side of the Moon」の発売50周年を記念して、ロジャー・ウォーターズは本作を再録音し、その中に「Money」も含まれています。この再録音バージョンは、オリジナルとは大きく異なり、よりブルージーで、レナード・コーエンを彷彿とさせるような、語りに近い歌唱が特徴です。
革新的な音楽性と社会風刺のメッセージを融合させた「Money」は、時代を超えて多くの人々に聴き継がれ、お金とは何か、そしてどのように生きるべきかを問いかけ続けています。
曲の動画
以下の動画をアップしています。
- Pink Floyd – Money (Official Music Video) by Pink Floyd(公式アーティストチャンネル)
- Pink Floyd – Money (PULSE Restored & Re-Edited) by Pink Floyd(公式アーティストチャンネル)
歌詞の和訳「Money マネー」
(原詞:太文字)
Money
Money, get away
金よ、失せろ
Get a good job with more pay, and you’re okay
稼ぎのいい仕事に就けば、大丈夫さ
Money, it’s a gas
金、それはガスだ
Grab that cash with both hands and make a stash *1
両手でキャッシュをつかんで隠し場所を作れ
New car, caviar, four-star daydream
新車、キャビア、4つ星クラスの妄想だが
Think I’ll buy me a football team *2
サッカーチームを買おうかな
2)
Money, get back
金よ、戻ってこい
I’m alright, Jack, keep your hands off of my stack *3
大丈夫だから、おまえ、俺の札束から手をはなせ
Money, it’s a hit
金、それは成功だ
Don’t give me that do goody-good bullshit *4
お人好しのたわ言など俺に言うな
I’m in the hi-fidelity first class travelling set *5
俺は高級ファーストクラスにいるが
And I think I need a Learjet *6
リアジェットがいるかな
3)
Money, it’s a crime
金、それは犯罪だ
Share it fairly, but don’t take a slice of my pie
公平に分け合え、だが俺のパイは奪うな
Money, so they say
金、奴らはこう言う
Is the root of all evil today
今日では諸悪の根源だと
But if you ask for a rise
だがもし昇給を求めても
It’s no surprise that they’re giving none away
思ったとおり奴らは何も与えようとしない
Away, away, away
しない、しない、しない
Away, away, away, away
しない、しない、しない、しない
アウトロ:ボイス)
“Hahaha, I was in the right”
「ハハハ、私は正しかった」
“Yes, absolutely in the right”
「そうだ、確かに正しかった」
“I certainly was in the right”
「ああ、確かに俺は正しかった」
“Yeah, I was definitely in the right; that geezer was cruisin’ for a bruisin'” *7
「そう、ああ、確かに俺は正しかった、あの男は殴られに来たんだ」
“Yeah”
「そうだ」
“Why does anyone do anything?”
「なぜ誰も何もしないんだ?」
“I don’t know, I was really drunk at the time”
「わからない、あの時俺は本当に酔っ払っていた」
“I was just telling him it was in, he could get it in number two.
「俺はただ入れる、彼に2番に入れると言っただけだ
He was asking why it wasn’t coming up on fader eleven.
彼は、なぜフェーダーの11番で(音が)出てこないのかと聞いていた
After, I was yelling and screaming and telling him why it wasn’t coming up on fader eleven.
それから俺は大声で叫びながら、なぜフェーダーの11番で上がってこないのかと彼に言った
It came to a heavy blow, which sorted the matter out…” *8
それが決定打となり、問題は解決した…」
キーワード
- *1 stash:「隠し場所」「隠れ家」
- *2 football: イギリスや欧州では、「サッカー」を「フットボール」と呼びます。
- *3
- Jack:「男」「お前」「やつ」など、知らない男性への呼びかけ
- stack:「積み重ね」「(積み重ねた)山」なので、文脈から「札束」としました。
- *4 goody-good bullshit: 「善良ぶったたわ言」の意味で「お人好しのたわ言」としました。
- goody-goody:「いい子ぶった」「善良ぶった」
- bullshit:(俗語)「たわ言」「でたらめ」
- *5 hi-fidelity:「(音楽)ハイファイ」から、高いクオリティの意味で「高級」としました。
- fidelity:「忠実」「忠実度」「厳守」
- *6 Learjet: リアジェットは、アメリカのビジネスジェットのメーカーおよびブランド名
- *7
- geezer:「おじさん」「歳をとった男」、(英俗)「男」「やつ」「間抜け」
- cruisin’ for a bruisin:「あざをつくるためにふらつく」から「殴られに来た」としました。
- cruise:「巡行する」「航行する」
- bruising:「あざ」「挫傷」
- *8 sorted the matter out:「問題を解決した」「整理した」
- sort:「整える」「整理する」
アーティストの紹介「Pink Floyd ピンク・フロイド」

David Gilmour, Nick Mason, Syd Barrett,
Roger Waters and Richard Wright.
引用:Pink Floyd-Wikipedia
インフォメーション
- 名 前:Pink Floyd(ピンク・フロイド)
- 歴代メンバー:
- ニック・メイスン(ドラムス)1944年生まれ-
- ロジャー・ウォーターズ(ボーカル・ベース)1943年生まれ-
- リチャード・ライト(キーボード)1943年生まれ-2008年没
- シド・バレット(ボーカル・ギター)1946年生まれ-2006年没
- デヴィッド・ギルモア(ボーカル・ギター)1946年生まれ-
- 活動期間:1965年-
- 結成地:イギリス・ロンドン
- サマリー:
- ピンク・フロイド(Pink Floyd)は、1965年にイギリスで結成されたロックバンドで、プログレッシブ・ロックの先駆者として知られる伝説的なバンドです。彼らの音楽は、サイケデリックなサウンド、哲学的な歌詞、そして壮大なライブパフォーマンスで、世界中の音楽ファンを魅了してきました。
- バンド名は、ピンク・アンダーソン、フロイド・カウンシルの2人のミュージシャンの名前に由来しています。
アーティストの軌跡
ピンク・フロイドの結成時メンバーは、ニック・メイスン(ドラムス)、ロジャー・ウォーターズ(ボーカル・ベース)、リチャード・ライト(キーボード)、シド・バレット(ボーカル・ギター)の4人でした。初期は、シド・バレットの独特な世界観が色濃く反映された、サイケデリック・ロックを基調とした音楽を展開していました。
1967年にシングル「Arnold Layne / アーノルド・レーン」でデビュー。2枚目のシングル「See Emily Play / シー・エミリー・プレイ)」は全英6位のヒットとなり、一躍注目を集めました。しかし、シド・バレットは薬物の影響で精神状態が悪化し、バンド活動が困難になっていきます。
1968年、シド・バレットの脱退に伴い、デヴィッド・ギルモア(ボーカル・ギター)が加入。ギルモアの加入は、バンドの音楽性を大きく変化させました。サイケデリック・ロックから、より実験的で創造性豊かな音楽へと進化を遂げ、プログレッシブ・ロックの道を歩み始めます。
1970年にリリースされた「Atom Heart Mother / 原子心母」は、全英1位を獲得し、商業的な成功を収めました。このアルバムを機に、ピンク・フロイドはプログレッシブ・ロックを代表するバンドとしての地位を確立します。
1971年の「Meddle / おせっかい」に収録された23分を超える大作「Echoes / エコーズ」は、バンドの新たな創造性の扉を開いたと言われています。
1973年、コンセプト・アルバム「The Dark Side of the Moon / 狂気」をリリース。このアルバムは、全米1位を獲得し、ピンク・フロイドを世界的スターダムへと押し上げました。
1975年「Wish You Were Here / 炎〜あなたがここにいてほしい」、1977年「Animals / アニマルズ」、1979年の2枚組アルバム「The Wall / ザ・ウォール」と、傑作を次々と発表。しかし、ロジャー・ウォーターズの主導権が強まるにつれ、バンド内の亀裂も深まっていきました。
1985年12月、ロジャー・ウォーターズは「ピンク・フロイドは創造性を使い切った」として脱退。しかし、デヴィッド・ギルモアはバンドの継続を決意し、ピンク・フロイドは新たな道を歩み始めます。
1994年、アルバム「The Division Bell / 対 TSUI)」をリリース。全英・全米1位を獲得し、収録曲「Marooned / 孤立」はグラミー賞を受賞。その後、大規模なツアーを行い、バンドは長い休止期間に入ります。
2006年にシド・バレット、2008年にリチャード・ライトが死去。2014年、「The Division Bell」のレコーディングセッションの未発表音源を基にしたアルバム「The Endless River / 永遠/TOWA」をリリース。デヴィッド・ギルモアは、このアルバムをピンク・フロイドの最後の作品としました。
2022年、デヴィッド・ギルモアとニック・メイスンは、ウクライナへのロシア侵攻に抗議するため、ピンク・フロイドを再結成し、楽曲「Hey, Hey, Rise Up!」をリリースしました。
ピンク・フロイドは、2016年までに全世界で2億5000万枚以上のレコードを売り上げ、音楽史にその名を刻んでいます。1996年にアメリカのロックの殿堂、2005年にイギリスの音楽の殿堂入り。2008年には、ポーラー音楽賞を受賞しています。
ピンク・フロイドの音楽は世界中で多くのファンに支持され、その影響は現代のロック音楽にも深く根付いています。
ディスコグラフィー
- スタジオ・アルバム
- 『夜明けの口笛吹き』 – The Piper At The Gates Of Dawn (1967年)
- 『神秘』 – A Saucerful Of Secrets (1968年)
- 『モア』 – More (1969年) サウンドトラック
- 『ウマグマ』 – Ummagumma (1969年) 1枚目ライブ、2枚目スタジオ盤
- 『原子心母』 – Atom Heart Mother (1970年)
- 『おせっかい』 – Meddle (1971年)
- 『雲の影』 – Obscured By Clouds (1972年) サウンドトラック
- 『狂気』 – The Dark Side Of The Moon (1973年)
- 『炎〜あなたがここにいてほしい』 – Wish You Were Here (1975年)
- 『アニマルズ』 – Animals (1977年)
- 『ザ・ウォール』 – The Wall (1979年)
- 『ファイナル・カット』 – The Final Cut (1983年)
- 『鬱』 – A Momentary Lapse Of Reason (1987年)
- 『対/TSUI』 – The Division Bell (1994年)
- 『永遠/TOWA』 – The Endless River (2014年)
*引用:ピンク・フロイド-Wikipedia
1970年 Atom Heart Mother(原子心母)
1973年 The Dark Side Of The Moon(狂気)
1975年 Wish You Were Here(炎〜あなたがここにいてほしい)
1977年 Animals(アニマルズ)
1979年 The Wall(ザ・ウォール)
1944年 The Division Bell(対/TSUI)
2014年 The Endless River(永遠/TOWA)